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カテゴリ:読書
![]() 新川帆立の新作、といっても2024/11/13の発売だから、手に取るまで時間を要した。 帆立節というものがあるのかどうかわからない。これまでの弁護士や公取委の審査官や探偵といったミステリーもあり、お仕事小説だったりする作風から意外に痛快だった「女の国会」を読んだりしたので、新川帆立らしい(?)小説を期待していた。 読み始めると、キャリア・ウーマンが突然の事故に遭い、四肢不自由の身となり、24時間要介護、車イスが必要。その姿を見て、目をそらすように、読み始めた私に忌避する感情が泡立った。なぜ新川帆立はこのような本を書いたのだろう?その答えはわからないが、モデルとなる人物がいて、しかし、その人物は描かない。性別も個性も違うであろう主人公を設定し、実在人物とは関係なく描く。あとがきを読んでわかることだが、本人のことは本人自らが書くべきであるという考えである。ノンフィクションでなければならないということだろう。ゆえにフィクションでは書かない。 存在しない人物を主人公にして実在の人物を描いた原田マハの「リーチ先生」を思い出し、対岸にある執筆方法であると思える。(私は「リーチ先生」を読んで大いに感動し、読後、主人公が実在しないと知って大いにショックを受けた) 忌み嫌う感情を持て余しながら読み進めると、大事故で体の自由をなくし、これまでの仕事も生活もなくしてしまう主人公の、がむしゃらで前のめりな行動に押されて、いつしか身内のような気持になっていった。 このような本を叙述した新川帆立はこれまでとは別のステージに立った気がする。 読み終えてとても敬服した。 当初、感じた忌避する思いはとうに消えて、主人公に会いたい思いがするほどであった。 素晴らしく素敵な本である。 (以下、Amazonより) ”ある日事故に遭い、頚髄を損傷してしまったひまり。 リハビリを続けるも復職の夢は潰え、一念発起して弁護士を目指す。 鉛筆も握れず、六法全書も開けない。 言葉のみを味方に、果たして司法試験を突破できるのか? 「言葉は私の最後の砦。 言葉がある限り、私たちはつながれる」 おしゃべりと食べることが大好きな33歳のひまりはある夏の日、出張帰りに交通事故に遭い、頸髄を損傷してしまう。意識は明瞭。だけど、身体だけが動かない。過酷なリハビリを続けるも突きつけられたのは厳しい現実だった。「復職は約束できない。できればこのまま退職してほしい」。途方に暮れ、役所で就労支援の相談をすると、すすめられたのは生活保護の申請。 私は人の役に立てるのに、どうしてその力を発揮させてもらえないのーー? ひまりは自立を目指し司法試験受験を決意する。思い通りにならない身体でロースクールに通い始めるが、次々と壁が立ちはだかり……。
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最終更新日
2025.04.26 23:19:35
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