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カテゴリ:映画館で見た映画
![]() (C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会 上映時間175分に及ぶ超大作。 まさしく圧巻である。 みごとな作品。 「言葉では言い表せない景色を見たい」 なぜ歌舞伎役者になったかを問われた主役の言葉である。 AKBグループ総選挙の結果発表でメンバーたちが口々にした”景色”ということば。 神7や一位をとったメンバーがいみじくもいった「この”景色”が見たかったんです」 自身のシンボルカラーで埋め尽くされた会場。それはそれは草原のように、桃源郷のように光輝いた。得も言われぬ空間。それとは違うけれど、やはり舞台の上からの”景色”を見たかったんだ。 素人では、いや玄人でもなかなか完璧に踊ることは難しい歌舞伎踊りを出演者たちは踊る。 子役・喜久雄役の黒川想矢がいい、うまい。しかし、難を言えば大人になった彼を演じる吉沢亮に風貌が似ていれば良かったのに。福田春江役の少女役も同様。長じて高畑充希が演じることになるのだけれどまったく似ていないため同じ人物(福田春江)とはわかりづらい。そんなミスマッチはあれどほぼキャスティングは良かった。 冒頭に登場の親分、永瀬正敏は任侠の親分らしく立ち回りも見事。その妻・宮澤エマもはきはきとしていて良かった。少年・喜久雄役の黒川想矢も良く演じていて、少年・俊介役の越山敬達との掛け合いも良し。渡辺謙は可もなく不可もなく渡辺謙らしくて、その妻に寺島しのぶを見た時は歌舞伎の世界のことなので安心感を得た。人間国宝の小野川万菊役の田中泯は舞踏家としての気概を見せてくれるが老人に思えて老女とは思えなかった。本物の歌舞伎役者の女形の方が演じればさもありなんと思えたが、そうすると歌舞伎のレベルが上がりすぎて俳優たちとの落差に気づいてしまうことを避けてか舞台の上で本物の歌舞伎役者が演じることはなかった。芸者・藤駒役の見上愛もよかった。芸者の時は芸者が似合わないほどの白塗りだったが二号でも三号でもと言い寄る彼女は良かった。母になってからも良く見えた。興行主なのか嶋田久作はそれらしくて良く、その息子・三浦貴大は小太り中年おやじでなんだかなぁと思えた。 吉沢亮は素晴らしく素晴らしく。よくぞここまで演じたと思えた。踊りも芝居も内面も演じて心身ともに役者と思えた。自然と流れる涙は本物。同様に一挙手一投足を映されることは吉沢亮ほどではなかったけれど、のちのち同じ役を演じたときの彼の流れる涙も本物。双方ともいい芝居を見せてもらいました。 高畑充希は愛くるしく二人にかかわってしまうのも納得。森七菜はこれまたかわいくて歌舞伎小屋にいる妹のようで、そのまんまに見えてとても良かった。着物を着ているときの所作も良かったと思う。 歌舞伎役者ながら舞台には出ないけれど出演していた中村鴈治郎は森七菜の父役でぶちぎれたシーンは最高だった。 長い年月を経ての国宝となった時のカメラ撮影のシーン、良かったなぁ。 そしてラストシーン、見事である。 やくざに歌舞伎と日本らしい要素の傑作。ぜひともアカデミー賞日本代表として推薦してほしい。 2025年/日本/175分/PG12 監督:李相日 原作:吉田修一 脚本:奥寺佐渡子 出演:吉沢亮、横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ、森七菜、三浦貴大、見上愛、黒川想矢、越山敬達、永瀬正敏、嶋田久作、宮澤エマ、中村鴈治郎、田中泯、渡辺謙お薦め度 「国宝」★★★★(85%) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.06.15 23:32:04
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