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テーマ:読書(9758)
カテゴリ:読書
![]() アート・ミステリーといえそうな小説を書いてきた彼女の作品群とは異質の本である。 表題から単に音がない理髪店の物語と思って手に取ったが、音があるけれど無音の世界にいる理髪師の話であり、その彼に関わる家族の話であった。 虚実取り混ぜて書いてあるから小説なのだろうけれど、どこまでが事実でどこからが作りごとなのか、気になるけれど判然としないのは練り上げた小説であるからだろう。そして、驚いたことに主人公に重なるごとく作者・一色さゆりの祖父も耳の聞こえない理髪師だったという点だ。彼女の祖父が小説と同じく日本で耳の聞こえない理髪師の最初の人であったかどうか気になるけれど、その点はどこにも触れられていない。 さて、物語は講談社のWEBによると (以下、『音のない理髪店』(一色 さゆり)|講談社 より) “「私の祖父は“日本で最初の、ろう理容師”です」 作家デビュー後、前に進めなかった五森つばめが祖父の半生を描くことを決意する。 ──時を超えて思いがつながっていく、実話に基づく物語 大正時代に生まれ、幼少時にろう者になった五森正一は、日本で最初に創設された聾学校理髪科に希望を見出し、修学に励んだ。当時としては前例のない、障害者としての自立を目指して。やがて17歳で聾学校を卒業し、いくつもの困難を乗り越えて、徳島市近郊でついに自分の理髪店を開業するに至る。日中戦争がはじまった翌年のことだった。──そして現代。3年前に作家デビューした孫の五森つばめは、祖父・正一の半生を描く決意をする。ろうの祖父母と、コーダ(ろうの親を持つ子ども)の父と伯母、そしてコーダの娘である自分。3代にわたる想いをつなぐための取材がはじまった……。“ (以上、『音のない理髪店』(一色 さゆり)|講談社 より) である。 作家デビューして、次回作が書きあがらない新人作家が自身の祖父の人生をたどり、聾唖者を取り巻く状況を過去から今まで描き、これから生きていく指針をもらったような話である。
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