3歳児検診この日は、今にも雨が降りそうな曇り空。保健所までの道のりには、小田急線の踏切があり、歩いて連れて行くにはコウが電車を見たがって大変になりそうなこともあり、お父さんに車で送ってもらいました。 受付をお昼前に済ませたということもあり、待ち時間も少なく、身体測定に入りました。体重はすぐに計れたのですが、始めてみる身長計にビビッたコウはぐずぐずし始め、なかなかまっすぐ立ってくれません。それでも暴れることがなかったため、どうにか終了。 そして内科健診へ。 問診表に幼稚園の一件を書いたため、内科の先生が質問をしてきました。 「お母さんの呼びかけや質問に答えられますか?」 「興味のあることだけです。 「公園の中で遊んでいられますか?」 「小さい公園だと脱走することが多いです」 「お友達とままごとできますか?」 「大人が相手なら、真似事はできると思います」 「お母さん、お子さんは自閉症ですよ。療育センターに行ってください」 頭が真っ白になった。疑問を持ち続けていたとはいえ、心のどこかで「おかあさん、大丈夫ですよ」という言葉を期待していたのだ。 そして保健婦さんとの面談。 内容は、療育センターのシステムについてと、身内の受容の件。 「お父さんは納得していますか?」 「おじいちゃん、おばあちゃんはどうですか?」 「おかあさん、大丈夫ですか?」 「療育を希望しますか?」 「このようなお子さんは、そのままでは集団生活はできません。センターに行くことをお勧めします」 次々とあびせられる言葉に、どんどん怒りが沸いてきた。 「普通のお子さんは、もう日常生活の言葉が十分話せて、お友達とも遊べて、公園も脱走したりしないんですか?」 「おかあさん、興味のあることしか反応できなければ、幼稚園には通えないでしょう。だから療育が必要なんです。特に自閉症は、コミュニケーションがうまくとれないので、幼稚園でも一番手がかかるんですよ。少しでもうまく集団にとけ込めるようにしてあげないと、こうちゃんが可哀想です」 今思えば、児童心理科の医者でもない小児科の先生が、「自閉症です」と断言すること自体、いい加減な話だ。小児科でわかるのなら、誰が何ヶ月も先の診断を待ち続けるものか。ましてや、先生も保健婦さんも、コウの様子など見ようとしない。ただ、私の返答を総合して、その結果を言っているだけなのだ。あまりにも親への配慮も考えないやり方に、強い怒りを隠しきれなかった。 その帰り道、とうとう降り出した雨の中、コウをベビーカーに乗せ、私は、ずっと泣き続けていた。雨が降っていて本当に良かったと思う。 途中、電車を見られると思っていたコウを叱り飛ばし、泣き叫ぶままにベビーカーを押し続けた。 家に着くなり、私はコウを抱いて泣き続けた。ただならぬ雰囲気に、コウも泣き始め、「おかあさん、おっきして~」と何度もつぶやいた。 少しほとぼりが冷めてから、私は友人に電話をかけた。そして、その友人の「疑われても大丈夫だった子はいるし、センターで検査して大丈夫だった子も知ってるよ。コウくんは表情も豊かだし、きっと大丈夫だよ」という言葉に一瞬なぐさめられた。 コウが寝てから、お父さんに電話をし、本日のことを報告した。話をする中で、また気持ちが落ちていき、涙が止まらなくなった。 それから私は、改めてコウと向き合うようになった。そして、今まで考えもしなかったことに気がついてしまった。目線が合わない・・・こんなことはなかったはずだ。いないいないばあが大好きなコウが、私の顔を見ないわけがない。しかし、合わせようとすればするほど、コウは私から視線をそらせた。それが何よりもショックだった。 お父さんと再度話し合い、療育センターへの予約を入れた。その頃には、お父さん自身も、コウの発達に疑問を持ち始めていた。 ジャンル別一覧
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