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カテゴリ:随筆・紀行
井上靖「中国行軍日記」 井上靖文学館 1500円
2021年12月、読破。 本書は、井上靖が日中戦争初期に応召された昭和12年8月25日から翌年13年3月7日までの従軍経験を手帳に記載したカタカナと漢字まじりのメモ書きから翻刻されたもので、他に召集令状が届いたことを知らせる父の速達と戦地から井上靖が両親に当てた手紙5通(いずれも翻刻と現物写真)、小説「異国の星」からの抜粋(「あの夜の兵士へ」、「富士を詠える兵士に」)を収録。 脚気を発症し体調をくずされ、本隊から離れて入院、最終的には帰国となります。井上靖が生前、あまり戦争について語られていないのは、解説にもありましたが、やはり兵隊として十分に働けなかったことに対して後ろめたさがあったのではないでしょうか。妻と生後間もない子どもに会いたいという想いが一番だったでしょうが、行軍中はずっと故郷のことを考えて歩いていたこと、羊羹などの甘味を異常なまでに欲していたことが印象に残りました。 井上靖「中国行軍日記」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年12月27日 11時36分43秒
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