沙羅双樹

2012/04/10(火)02:56

アジアに甚大な被害をもたらしたことが

国際(11)

 NHK平和アーカイブスという番組をみています。過去にNHKで制作・放送された平和に関する番組を月に一度再放送するものです。  私が見る限り、原爆の惨禍についての番組ばかりが放映されています。確かに、原爆による被害について深く認識することは、核の時代において必要なことだと思います。しかし、それだけではいけません。なぜ原爆が投下されたのか、それまでに至るまでにどういう事がなされてきたのかという原因を解明しなければ、ただ「原爆は怖い」ということだけで終わってしまうでしょう。そこで思考を停止してしまったら因果関係がわからずに、「平和」という言葉もただのお題目となってしまいます。  大日本帝国は、天皇制軍国主義という国体さえ守ることができれば国民など何百万人死んでもよかったのです。まさに北朝鮮などはるかにしのぐ電波帝国ですね。しかし、原爆の威力は国体の大元である天皇さえも滅ぼしてしまいます。昭和天皇や軍中央は震え上がったことでしょう。そこであわてて無条件降伏をします。1945年7月26日にポツダム宣言が出された時点で、日帝は壊滅状態にあったのにもかかわらず、これを黙殺した政府・大本営の無能さが原爆投下につながりました。  アメリカ軍はその無能さを利用しました。原爆の実戦使用ができ、その威力を直接人間や建物で知ることができるのです。広島にはウラン型・長崎にはプロトニウム型という異なった種類の原爆が投下されました。それぞれを比較するためでしょう。  占領後は米国原爆被害調査委員会(ABCC)が中心となって、核兵器が人体に及ぼす影響のデーターを取り尽くしました。要するにアメリカは、原爆を軍事戦略的な意図を持って使用したわけではなく、来たるべき核戦争の実験のために広島・長崎に原爆を投下したのです。これは、アメリカという国家が戦争国家であることを証明するものです。  被害は伝えるが、アメリカの加害責任について追及するような番組をどうやらNHKは制作してはいないようです。となれば、日本のアジアに対する加害責任に関する番組なども制作してはいないでしょう。沖縄戦や東京大空襲、ヒロシマ・ナガサキなどの原因は、大日本帝国が低俗な国家であったことに集約されます。軍国主義を振りかざし、アジアに甚大な被害をもたらしたことがヒロシマ・ナガサキに帰結するのです。

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