古河大使をなさっていらっしゃる永井路子さんの最新作『岩倉具視』を読みました。岩倉具視(いわくらともみ)は元お公家さんで、明治時代に日本政府の中枢を担った政治家です。そう、500円札で有名な人物です。この本を読んでいたら、当地のことが出てきたので、びっくりしました。岩倉具視は、古河とは何のゆかりもないのですが…

| では、なぜ??? それは「言葉の皮を剥きながら」という副題がヒントです。これは、「尊王攘夷」などの言葉にしみこんだイメージを排除して、真実は何かということを追求するという意味で、当時の徳川幕府、朝廷や公家、薩摩などの人々が何を考えて行動していたのかが生き生きと感じられる本になっています。
第三章の「手入の風景」に、かなり詳しく書かれているのですが、江戸末期、古河藩主の土井利厚(どいとしあつ)や利位(としつら)が老中として活躍していました。その家臣、鷹見泉石の『泉石日記』は全8巻で、幕末の約50年間にわたっており、当時の政治がよくわかるというのです。ちなみに、これを含む3150あまりに上る資料は2004年に国の重要文化財の指定を受けています。 |
「手入」とは、付け届け、早く言えば「贈賄」のこと。あまり良いイメージではないですよね。しかし、どうやら、腐敗したから起こったのではなく、最初からそういう仕組みだったようです。私が思うに、まず自分にできる貢献を誠心誠意行うことで、相手との関係が深まって、取り立ててもらえるという話であって、実は、これは、仕事を含む人間関係をうまく運ぶ知恵なんですね。
しかし、「手入」を過信して失敗した人もいるといいます。大老の堀田正睦(ほったまさよし)は、将軍の跡目問題と対米通商条約について、公家のトップとの接し方を誤ったのだそうです。結局、自分や身内が得するのが目的というのでは、いくら手入してもダメなんじゃないでしょうか。心が入っていないと…、心とは思いやりと公徳心です。相手とみんなのためになるということですね。
先日10月18日、古河文学館で永井路子さんの講演「『岩倉具視』で言いたかったこと」があったのですが、券は即座に配布終了になってしまったそうで、残念ながら、私は拝聴することができませんでした。聴けた方がいらっしゃいましたら、どうか感想をお聞かせください。構想40数年というこの渾身の作、2008年の毎日芸術賞を受賞したこの作品、ぜひ、みなさんにおすすめします。
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岩倉具視 |