あるご夫婦の話 (ちょっといい話)
先日京都駅で初老のご夫婦に話しかけられた。 電車好きの息子と、特急はるかを待つホームで。 確かにはしゃぎまくっている息子は人目をひいたかも。 私がデジカメ持っていたのを見かけて、 「お二人で撮りますか?やり方教えてくだされば・・・」と 奥様(結婚式帰りだそうで服装もステキだったし、大阪のおばちゃんというのは失礼な感じ。)が声をかけてくれて。 息子(3才)にもたくさん話しかけてくれて、 商売してたけど今は隠居生活だという旦那様はいいおじいちゃんって感じで、なんとなく流れで4人席にいっしょに座った。 おじいちゃんが、胸ポケットから写真を数枚出して見せてくれた。 「孫の写真なんですけどね。今中2でね~。」 微笑ましいなぁ。写真持ち歩いているんだぁ。 と思ったら、奥様が言葉を足された。 「本当はね、孫じゃないですけどね。 もう孫みたいに思っているっていう意味なんですよ。 私達、子供に恵まれなくてね。 子どもはいないけど、孫はいるんです。うふふ。」 よくよく聞いてみると、 たまたま隣に引っ越してきた若夫婦と、挨拶したり立ち話したりしているうちに、どうやら生活もギリギリなんだとか、 ご両親は遠方の島暮らしでなかなか頼るわけにもいかないとか事情を知り、 なんだか手を貸してやりたくなって、ちょこちょく夕食のおかずをおすそ分けしたりするようになっていたとか。 そうこうしているうちに若奥さんのおなかが大きくなって、 子どもが産まれるのを他人ながら楽しみにしていたら、 陣痛のときに痛みでパニックになった若奥さんが扉をたたいて 助けを求めてきたと。 それでこのご夫婦が病院まで付き添い、それを機にもっと親密になり、赤ちゃんの世話も何かと手伝うようになったそう。 「子どもに恵まれなかった私達夫婦に、神様がこういう縁をプレゼントしてくれたのだと思った。 せめて親の真似事ぐらいはさせてやってもいいだろうと思ってくれたのだろう。」 なんておっしゃった。それから、離乳食とかおむつも準備して、子どもの成長をそばで手を貸していたって。 「この子の弟が生まれたときなんかね、 あ、こっちの写真のこの子ですけどね。 生まれて間もない赤ちゃんなんて抱くの慣れてないから、もう緊張して緊張してね、 次の日肩こってたよ。もううれしくてね、パジャマ買い揃えたりね、 お風呂も3回一緒に入ったなぁ。 背中流してもらったときなんか、泣きそうになったなぁ。で、今は引っ越してそばにいないんでね、写真持ち歩いてね。」 その家族が引越していくその当日までも子どもさんはその夫婦の部屋で遊んでから立ったんだそう。 このお話を聞きながら、奥様は「グリコのキャラメル」を息子にくださった。 それも、母親の私に「甘いものって禁止なさっている?」と確認されるまでは息子に見えないように配慮してから。 「車酔い予防に持ち歩いているんですよ。それとね、小さなお子さん見かけるとついつい何かあげたくなっちゃって。」 車窓からの風景を見て、「特急はるかに乗ってるな♪びゅーん!」と はしゃぐ息子を見て、目を細めて、 「かわいいわね~。ぎゅうって抱きしめたくなるわね。」 なんとも深い愛情を感じる温かいまなざしで息子を見てくれて、なんだか胸の奥が熱くなった。 その後もお二人のお話をいろいろ聞いた。 あの「お孫さん」の初節句のとき。 ご両親から贈られたお金を何かの手違いで盗まれたか紛失したかで、慌てている夫婦のために、お金を立て替えて5月5日当日に、何件もお店を回って五月人形を手配したこと。 お金を送ってこられたご両親のためにも5月5日中にその日付が入った写真を撮ってお礼の手紙を送るようにお話したこと。 飾った五月人形を前に若夫婦が泣いて喜んでくれたこと。 そして、「お孫さん」はこの子たちだけじゃなく、ブラジルにもドイツにもいるんだとか。 留学生や出稼ぎにうまく行かなかった外国人の人にも手を差し伸べていたんだそう。 彼らのプライドを傷つけないように、1月に封筒に入れたお金を「お年玉。」と言って何度も手渡したことがあったとか。 「年長者が若輩者にがんばれという気持ちをこめて渡すのがお年玉。日本の風習だから気にせず受け取るもんだ。」と。 数年後になってドイツから国際電話があったそう。 その後ドイツ人と結婚した彼がきっとお年玉の本当の意味合いを知ったんでしょう。お礼を一言いいたくてと。 そして、一生懸命 丁寧なカタカナでお礼が書かれたクリスマスカードも届いたって。 また別の外国人で、最後に餞別代りに食べさせてもらったヤキソバの味が忘れられず、母国に戻ってからヤキソバ屋さんを始めたら繁盛したんだって手紙で教えてくれたとか。 他にもいくつもエピソードを聞いた。 どれもが胸に残しておきたい話だった。 若夫婦もきっとこのご夫婦との縁を神様に感謝していることだと思う。 このご夫婦が手を差し伸べていなかったら・・・。 そして、私も今日のこのご夫婦とお話できたことに感謝している。クリックしてくれたらうれしいです♪↓↓ ※迷惑サイトの書き込みが多くて、コメント入力の制限をかけています。 プロバイダによっては書き込みができなくなっています。 もしも、感想など一言書き込もうと思われたら、遠慮なくメッセージください。 (*'-'*) m(__)m →メッセージ ◇記事一覧はTOPの左にあります。