カテゴリ:作文・文章能力・表現力
前回のつづきです。
(1度書き終えたものを、息子が近づいた瞬間ぽちっと削除してしまって・・・(T_T)。 更新遅くなってしまいました。) 「俳句を作ろう!」と子ども達に持ちかけると、 指を折りながら、いきなり 5・7・5に当てはめて、完成形を作ろうとすることが多いです。 最初はそうやって音感・リズムを楽しむのもいいですが、 その発展として、「言葉の守備範囲を意識」してみましょう。 (1) 青い空 白い雲が うかんでる 俳句を作り始めた子ども達に多いのが(1)のパターンです。 青と白とのコントラストがきれいで、すがすがしさが伝わってきますが・・・ それだけです。 「空」という言葉を聞くと、だいたいの人は同時に青色を思い浮かべます。 「空」と「青」ではかなり守備範囲が重なっています。もったいない・・・。 「雲」という言葉を聞けば、だいたいの人は「白」と「空にうかんでいる」と思います。 これも守備範囲がずいぶんと重なっていてもったいないですね。 自分が表現したい世界に、上手に言葉を配置させるのはなかなか難しいですけど、 こういうことを楽しんでやっていると、表現力の養成にはかなり有効だと思います。 言葉の意味、連想を整理して、本当に必要な言葉だけを抽出して作ることを意識する。 ほんとに、このアドバイスだけで ぐーんと子ども達の作品レベルが上がります。 すぐには上手くいかない場合、言葉を書き出して整理する方法があります。 白紙の真ん中に、書きたい句のテーマを書きます。 例えば「春」。 それを○で囲んで、その周りに春から連想する言葉をどんどんと書いていきます。 例えば「桜」「卒業式」「菜の花」「風」「あたたかい」「ちょうちょ」 またその言葉の周りにそれぞれ連想した言葉を書きます。 「桜」の周りに「ピンク」「白」「散る」・・・ 「卒業式」の周りに「友達」「さみしい」「卒業証書」「歌」「先生」・・・ 少ししか書けないものはそのまま置いておいて、 どんどんと書ける言葉の連想を広げていきます。 そうしているうちに、頭の中には1枚の絵が描きあがっていると思います。 その絵のポイントとなる言葉だけを拾い上げて、俳句を作ってみましょう。 こんなふうに作った6年生生徒の作品を少し紹介します。 『 この桜 友と見上げる 何年も 』 なにげなくつけられた「この桜」の「この」という言葉が、思いいれのある特別な桜なんだって感じを効果的に伝えます。 ここが同じ五音の言葉でも「桜の樹」だったら・・・この句の印象はずっと軽いものになってしまいますよね。 この作品を作ったSさんは、最初「友と見上げた」としていたのを「友と見上げる」に書き直しました。 最後の「何年も」が厚い友情を培ってきた小学校6年間を感じると同時に、「見上げる」にしたことでこれからもずっと友達だよというような誓いにも聞こえますね。 なんだかとても余韻の残るいい俳句だなぁ~と思います。 次は、男の子の作品。 『 ついてくんな ころおぎ達め 夢の中まで 』 夜寝る前に聞こえてきたこおろぎ達の虫の音。 きれいだなぁ~と心地よく聞いてはいたものの 眠りにつくのにいつまでもいつまでも聞こえてきて、 夢の中までずっと聞こえていた気がする。もう、ついてくんなよ~。 秋の虫の音。風物詩ど真ん中ですが、 それを軽くうっとおしがっているところが面白いっ! 季節の移り変わりを『喜ぶ』句ばかりを作ってしまうのは大人の先入観というものだと 気づかされましたね~。 それに言葉の守備範囲をうまく意識していますよね。 「音」「鳴き声」「リンリン」などの言葉を使っていなくても、 ずーっと鳴り響いていることを表現できています。 Aさんの個性的な作品。 『 元気栗 守るぞみんなで 金のとげ 』 前回の記事で「運動会 風のチーター 走る君」の句を紹介したAさんです。 彼女はある程度の作風をすでに持っている。 作文の課題でもそうなんですが、絵本のようなやさしい世界を持っています。 今回は、家族で栗拾いに行ったことを書くことに。 つやつやとした栗の実が見え隠れしているのをつかもうとしている私達。 それをとげ達が必死に守ろうとしているように見える。 なんだか自分たちが悪者になっているような気分になった。 という作文を先に書き上げ、そこからできた句がこれです。 「元気栗」という個性的な言葉の組み合わせ。 栗を単に食べ物としてではなくて「元気」と表現して 擬人化しているのがまずインパクトがありますね。 食べると元気になる実。自然の恵みをうまく表現したなと思います。 そして、それを苦労してつかまえにきている人間ではなく、 一致団結して守ろうとしているとげの方に感情移入しています。 「金の」できらりと光って、するどい様子なのか、 大切なものを守ろうとして誇らしげな様子なのか、 秋の夕焼けの色のイメージも重なって、絵本のイラストのような世界。 擬人化して表現することは、実は作者自身の感情そのもの。 落ち葉を見て、「さみしい」と感じる人もいれば「ダンスをしている」と感じる人もいます。 それはそのときの気分しだい。自分の感情を対象物に反映させるのが擬人法ともとれますから、 Aさん自身の家族もきっといつも仲良くてきらきらとしているんだろうなぁ。 子ども達が作った俳句を、いいところをこんなにいい、こんなところもとてもいい! といっぱい誉めることも大切ですよね。 縦長に切った半紙に毛筆で書いて、それらしく壁に掲示し、私なりの評価文もつけました。 他教科の先生も見て「ええ句やなぁ~」と言ってくれるので、生徒達も誇らしげ。(^-^) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年04月01日 19時33分42秒
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