カテゴリ:中学受験・サポート
「口うるさい母」は「きめ細かくアドバイスする母」です。 フロイトは、人の「良心」は、社会のあり方や考え方を周りの人間から見て学び、 経験していく中で芽生えるものだと言いました。 「良心」が人の心にあらかじめあるものではなくて、環境や学習の中で初めて育っていくものだと。 長期間の日々の生活って、それそのものが学習時間なんだなぁ・・・ とたくさんの子どもたちを見てきて、何度もそれを実感することがありました。 TPOとか、躾の点も、その一つです。 例えば、合宿で生徒が各部屋に入っているときに、見回りをしたり、指示を出したりしてのぞくときがあるのですが、最初に見たときにはほぼ100%の確率でスリッパはばらばらです。 女子の部屋でたま~に全員きれいにそろっていることもありますが、 そういうことは珍しく、それだけで誉めるに値します。 「スリッパそろえるのって難しいかい? こんなことができないんなら、単位そろえるの、そりゃ難しいわよねぇ~。」 と言うと、みんなあわててそろえます。 次にのぞいたとき、二つに分かれます。 もう、それ以降は必ずきちんとそろっている子と、 同じことをまた言われるとか私の顔を見て、あわてて直しにくるのをくり返す子。 公式を必要な箇所で思い出して、利用する・・・とか、 文章を書いているときに効果的に表現技法を使うとか、 理科で、これもあの原理と同じだと気がつくとか、 そういうことと、関係ないとは思えません。 他にも、講師に対しての言葉遣いとか、使ったものを元の場所に戻すとか、開けた扉を閉めるとか、その場その場に応じて、「こうした方がいい」と言われてきたことを、習慣のように自然にする動作でも、やっぱり脳はそこでピピッと命令を出しているわけです。 そういう生活に慣れていれば、「しかし」が入るべきところに、「だから」が使われていれば違和感を覚えるでしょう。 必要なときに必要な公式を思い出すこともできるのでしょう。 言いにくいことを友達に言うときに言葉を選ぶとか、 場の空気を読んでもりあげるとかもそうでしょう・・・。 おもしろくないことがあったときには、気持ちを上手く切り替えるとか。 そんなことにもつながっていくのかもしれません。 普段、生活の中で注意されているポイントが多いということは、 それだけ、脳に命令がいく回数が多いということ・・・と考えると、 「口うるさいお母さん」は、「きめ細かく指導するお母さん」です。 すごく大きな意味があるんじゃないかと思うのです。 ・朝、自分で起きる。 ・家族に「おはよう」「おやすみ」など挨拶をする。 ・時間割りを自分で確認して、準備する。 ・朝ごはんの後、食器は自分で流し台に運ぶ。 ・自分で洋服を選ぶ。 ・くつはきちんとそろえる。 ・帰ってきたら、手を洗う。 ・風呂掃除など自分の担当のお手伝いがある。 ・洗濯物は裏返しにしない。 ・宿題をきちんとする。 ・字をていねいに書く。 ・出された食べ物はできるだけ残さない。 ・友達に攻撃的な言葉・感情的な言葉を投げない。 ・年配の人への敬意。 ・妹・弟への態度。 ・公共の場でのマナー。 ・大人のいないところでの立ち振る舞い。 全てに注意されている子もいれば、全く一つもされていない子もいます。 生徒達に話を聞いていたら、中には、お手伝いというのは物語の中の貧乏な子たちがするものだと思っていたとかいう子までいて驚きました。 「王子様」「お姫様」として育っている子たちの感覚は、想像を絶します。 そういえば、算数の講師に「おつり」の意味をたずねてきた子もいました。 「一生懸命勉強に集中できる環境を整える」ということと、「大人に近づいていく人として身につけるべきことを身につけるためのアドバイスをする」ということ、片方を犠牲にする性質のものではありません。十分両立が可能。むしろ相関関係にあると思います。 私は、責任者時代、日曜特進の授業の初回には必ず普段の教室から授業のある教室まで引率していました。 その際、エスカレーターは片側に寄ること、 電車内では自分たちより席を必要としている人がいないか周りを確認してから座ること。 おしゃべりの声のボリュームを考えること。 車内でお菓子など食べないこと。 宿題などを広げて座席を独占しないこと。 困ったことがあれば駅員さんに尋ねてみること。 などを伝えていたが、みんな結構興味を持って聞いてくれて、 大人びた振る舞いをしてそんな自分たちを心地よく感じている様子も見られました。 きっかけを与えてもらえれば、できる子は多いですよね。 中には、自分で実行できるようになるのに時間がかかる子もいますが、それでもちゃんとその場で理解はしていて、少しずつ行動に移せるようになりますね。 ちょっと悪びれた態度をしていても、それが悪いこととわかりつつちょっとやってみてしまうのか、それが恥ずかしいことだとは知らないからやってるのとでは全然ちがうと思います。 大人の言う言葉を素直に聞ける間に伝えておかなきゃいけないことはたくさんあります。 受験勉強というハードなことをしている子たちが、 中学受験に批判的な人たちに悪く言われる機会は減らしてあげたいという気持ちもあります。 できるだけ「勉強だけできても…」とか言われるようなことのないように言葉遣いやマナーなども授業前後に話題にしてきたつもりです。 授業前後のくだけた雰囲気のときには、よくいっしょにくだらない上段も言って笑いますが、授業中は必ず敬語での発言を求めました。 それが、結果的にけじめにもつながったし、成績にもつながっていきました。 そういう礼儀作法的なことや、言葉遣いについてまで口うるさく言っている教室長は当時最初私ぐらいでしたが、教室平均点が常にトップをとるようになり、その意義は学習の部分にもあったと思っています。 とある進学校から「塾別に分析をしたところ、先生の教室からうちの中学に入学してくれた生徒さんは、皆さん入学後も伸び続けています。昨年度は、受験された生徒さん全員が合格していまして、そして全員が特進クラスに在籍となりました。どのようなご指導をされているのか見学させてもらってもいいですか。」という連絡が入ったこともありました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年10月30日 13時07分48秒
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