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カテゴリ:国語
中高生の読解力低下は、たびたび話題になります。
その読解力のテスト問題って、ほんの数行なんですよ。 その数行と同じ内容を述べている選択肢が選べない。 例えば、こういうの→「中高生の読解力ピンチ 産経新聞オンライン」です。 中学受験をする小学生、私立の高校三年生、大学1回生、就活生(3回生)と指導していますが、文章読解問題として配布するプリントを全く同じものを使った週があります。 就活生のSPI試験対策(入社試験対策)、公務員試験対策として、 高校生には大学入試問題の過去問を取り組む前のウォーミングアップとして、 中学受験のために勉強している小学生には、難しい漢字にはルビだけつけましたが。 乱暴なこと言います。 できる子はできる。小学生でも全問正解する。 できない子はできない。大学3年生でも、小学生が正解した問題を初めから諦めて文章を集中して読むことすらしないで勘で記号を選ぶ。 読解力の前に、じっと集中して読む力が必要です。 高校生、大学生の読解力に自信がない生徒さん達の中には、抽象的で文章が小難しいから理解できなくて読解力がないと思っている生徒さんが多いのですが、実はそのタイプはごく少数です。 例えば2000字の読解問題のプリントがあったとして、その2000字を小学生の読むような小説や論説文に交換したところで正答率は上がりません。 ぱっと見て、文字ばかりのプリントに対してすでに嫌悪感や苦手意識があるので、集中して読み込むということがなかなか困難なようなのです。 こうなるとけっこう厄介です。 ある意味「呪い」にかかっているようなもの。 「これ、小学生用のテストだよ」と言えば、正答率は上がります。 「昨日、塾の教室で配った余りを君らにも配ってみた。小学生の平均点は75点だったんだけど、君らはどのぐらい取れるか試しにやってみてよ。さすがに満点いけると思うんだけど。」と冗談のようににこにこして配布する。 気持ちの問題。 「母国語に対する苦手意識」という気持ちの問題は、重大な問題だと思うのです。 2000字の文章は、音声にすると約5分となります。 5分間、人の話が聞けない、ということに繋がります。 集中して情報や人の話を聴きとろう、読み取ろうということが自然にできない。 義務教育の中でも、コミュニケーション能力やアクティブラーニングが大事だと言われていますが、本気で子供たちが母国語に自信を持つということ、そのための教育の仕方について、関わる大人全員で考えていかないといけないと思います。 高校3年生の授業を、とある事情でピンチヒッターとして引き受けてしたのですが、 その様子を廊下から見ていた人に「あのクラスの生徒が全員前を向いて集中して先生の話を聴いているのを初めて見ました。」と言われました。 「全員こっちを向いている」なんてところに私は目標を置いていないので、驚いてしまいました。 生徒さん達も「いつもは寝てる。この授業は寝ると初めから決めてる。今日は起きてた。眠くなかったの久しぶりやわ。」「いつもはわからんからつまらん。」と言っていました。 国語で諦めるなんてことしちゃいけないし、させちゃいけないです。(古典ならまだしも) 聞き取る力、読み込む力、伝える力、生きていくのに必要です。 小中学生時代にしっかり積み重ねて、力を磨く意味や喜びを知っていることがいかに大切であるか。 出会えた子たちだけでも、一緒にいる時間だけでも、せめて『前進』の手応えがあるように。 スマホの情報の大部分を流して、その中で自分の興味ある部分だけをピックアップする習慣がついていて、だから「長文の文章も全部は読まない、読めない」となっている中高生。 いつもいろいろヒントをくださる貞國先生と話をしていて、問題演習の素材の文章も、ぜひ読んでもらいたいような内容にもこだわって選択することにしました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年09月10日 19時31分48秒
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