2005/07/30(土)18:07
シンプルしかなかった頃
『季節により時間は違うが、朝暗いうちに起きた。
ご飯の支度は姑がしてくれたので、その間、草刈り、
草取り、売りにいく野菜の収穫などをした』
『朝食後、家の掃除をしてから農作業に出かけた。
「しょいかご」に洗濯物を入れて持って行き、
用水掘で洗い、土手の草の上に干し、持って帰った。
夜は十時くらいまで働いた』
『少しでも早く田畑に出て働くために、
赤ん坊を前掛けでくくってお乳を飲ませながらご飯を食べた』
『嫁の遠慮からご飯のおかわりがなかなかできない。
いつもお腹がすいていた。
お釜を洗う時、底に残ったご飯を食べた。
その味は格別だった』
~『七北田』(新しい杜の都づくり泉区協議会発行)からの抜粋です~
戦後まもなくの頃、東北の農家のお嫁さんの生活は、こんなでした。
ついこの間のことです。今と比べるとなんと辛そうな日々。
でも、きっと、ささやかなことに楽しみを見い出して日々生きていたのだと思います。そうやって生きていくしかなかったのですから。
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オーブンの中でパンやケーキがふくらんでいくのを眺めるのが好きだ。
自家製酵母でパンが焼けると聞いてから、レーズンを水にひたしてぶくぶくするのを待って、パン種を作って、やっとパンが焼けるぞ。
「大草原の小さな家」に出ててくるローラのお母さんは、いつもこうやってパンを焼いていたんだろうか。
昔は、生活に必要な作業で一日が終わっていたのだね。
生活はシンプル、でも心は濃かったんだろうなあ。