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口美庵 kuchimi-an ~シドニーゲイの日々

vol, 6 「元彼の親友」

 こないだ元彼の親友に呼び出されちゃったの。「ちょっとツラ貸せや」って。会ってみたら、やけにモジモジしてるから「どうしたの?」って聞いたらば、急にガバッて抱きついてきて「ずっと前から好きだったんだっ!」と激白されて、唾液が絡まるような濃厚なキスをされて、そのまま彼の家へ・・・

 っつーのは、真っ赤な嘘で。そんなことしてくれるような人なんているはずもなく、ましてや元彼の友達にそんなことされて嬉しくなるような人材なんて・・・たくさんいた・・・が、何も起こるはずが無かった。

 さて、親友に呼び出されたのは本当で、この人はストレートのトルコ人なんだけれど、オーストラリア育ち。イギリス人の彼女がいて、二人とも当時から私にはよくしてくれた。サリーヒルズに持ってたカフェにもよく訪れた。別れた時は心底心配してくれて、しょっちゅう電話をかけてきてくれた。私としては、元彼はもちろん、彼を取り巻く環境からもしばらく離れたかったので、ちょっぴり迷惑だったけれど、彼らの思いやりには素直に感謝した。しばらく連絡がなかったと思ったらいきなりの連絡、そしてディナーに誘われた。

 一人で行くのは気が引けたので、また「大丈夫か?元気にしてるか?」の連発になることは間違いないので、今彼を連れて行くことにした。当然彼は拒否反応を示した。なぜに相方の元彼の親友と会わねばならぬのか、見定められて点数でも付けられるんじゃないか、と。まったくその通りである。私でも断るだろう。それでも、いいからついて来い、と強引に決めた。私はこんなときだけ男っぽい。

 新しい男が出来たことはもう報告済みだったので、どちらにしろいつかは会わせて、安心してほしいと思っていた。いつまでも心配されても困るのである。しかし、何分、元彼の親友である。会ったことはもれなく報告されるのであろう。そのとき、大したこと無かったよとか、足が短かったよなんて、3人で笑われたりするのだろうか、ほーっほっほっと高らかに笑うのか、と一抹の不安がよぎったが、彼らに限ってそんなことはない、と無理矢理信じた。

 二日後、彼らと一緒にダーリングハーストのピザレストランに行った。彼らは相変わらず気さくなカップルで、今彼にも優しく接してくれた。最初は緊張してた今彼も、心地よい酔いとともに、流れる時間とともに彼らに馴染み、年末の話やら、パーティーの話、しまいには株の変動についてまで語っていた。そして彼がトイレに行ってる間に、親友から「いいやつ見つけたな」と合格を頂いた。どんな形にしろ、そんな風に自分の男を認めてもらえるのは素直に嬉しいものである、たとえそれが社交辞令であったとしても。

 数時間前までは、本気でドタキャンしようかとも思ったし、彼もまるで行きたくなさそうであったが、結果オーライである。その後もしばらく店に居座り、楽しい時間を過ごした。よくよく考えてみれば例え元彼に何と報告されようと、何と思われようと、知ったこっちゃないのである。今、私は別の男に愛され幸せであるのだから、むしろ自慢すべきなのだ。そして今、私は、元彼と持てなかった安らぎを得ることが出来たのだから。

 そして昨日のこと、「またディナーでもしようや」とハグして別れてから一週間も経たないのにまたディナーの誘いがあった。少なくともあの時の合格は嘘ではなかったようである。

 余談であるが、食事の際に彼らが「あのダーティな友達は元気か?」と聞いてきた。誰のことやら分かりかねてると、「ほら、あの、キンクロの駅で、酔ってゲロ吐いて寝ちゃった子だよ、アッハッハ」と笑って教えてくれた。人気者ね、のりえってば。


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