vol, 23 「されど片想い」今朝も大してお腹も減ってないのにまたマフィンを買いに行った。我ながら自分の執着心には感心する。けれど彼の顔を見ることで眠気も吹っ飛び、その一日がほんの少しでも Happy になるんだから、マフィン一個は安い買い物であると言えよう。先走りし過ぎて、オープン前のカフェで待ち構えたりとか、仕事を終えて帰宅する彼を付いて行ったりとかすると、これはもうストーカー、犯罪者である。私の行為なんてかわいいもの、女学生並みである。っつーか、最近の女学生の方がよっぽどひどいことをやらかしているではないか。 今日読んだ記事に、中学3年生のカップルが彼女の方のお父さんを殺害未遂というのがあった。なんでも娘を妊娠&中絶させたことで、彼氏を責めていたらしい。それで逆恨みして二人してお父さんを殺そうとしたっつーんだから、信じられない。彼氏はともかく(ともかくじゃねーが)、娘の神経を疑いますね、全部自分の蒔いた種じゃないの… まったく今の若い者は… ブツブツブツ とか考えながらカフェにたどり着いた。朝から繁盛するそのカフェは今日もごった返していた。目が合うのが恥ずかしいので(なんのこっちゃ)、下を向いたまま店内に入る。客足を確認しながらそのまま自分の番を待つ(もうすでに怪しい人かもしれない)。アジア人らしき声が聞こえる、きっとこの声だ、私の愛しい人、紫のバラの人、今日も私を Happy にしておくれ。「ご注文をどうぞ」という声が私に向けられてるのに気付き、パァ~と笑顔で顔を上げる、「えっと…」とか言いながら、が…、…あれ?だれ、これ?ぶっさいくなアジア人が私に笑顔を振り撒いている、私の顔は一気にひきつる、こわばる、時が止まる、目がくらむ。私の後ろには客列が出来ている。「ご注文をどうぞ?」、もう一度彼が聞く。思わず彼を殺したくなった。 「…何もいりません」 逃げるように店を後にした。今日の私はブルーです…。 (TдT) アイィーン ジャンル別一覧
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