2010/09/09(木)10:44
「やむを得ない事由」とは?
離婚すると、結婚の際に名字を変えていた人は、
元の名字に戻るのが原則です(民法767条1項)。
しかし、本人が希望して、本籍地若しくは住所地の市町村に届け出れば、
婚姻時の名字を引き続き使うことができます。
ところが、この届出は離婚の日から3か月以内とされています(民法767条2項)。
結婚相手が死亡した時には、
いつでも元の名字に戻れることと比べると(民法751条1項)、
なんだかバランスが悪いような気がします。
さて、そんなわけで、離婚した場合には、比較的短期間に、
これから生活していくための名字を決めなくてはなりません。
ですから、後から事情が変わるとか、気が変わるとか、
色々なことが想定されます。
そんな時でも、もう元の名字に戻れないのでしょうか?
戸籍法107条1項では、
「やむを得ない事由によって氏を変更しようとするときは」
家庭裁判所に届け出てる事によって、
変更を可能にしています。
当然、事細かに、どういう事由あればが「やむを得ない事由」と認められるか、
ということは書いてありませんので、
こういう相談を受けた時には、
非常に歯切れの悪い回答になってしまいます。
「裁判例は、通常の氏の変更より、緩やかに適用している」
と書かれている教科書などもありますが、
緩やかさ加減はよく分かりません。
実際に、離婚時に、婚姻時の名字を選択し、
その後、元の名字への変更を認めている裁判例を調べた上で、
相談者の方に説明し、手続を取るかどうか決めていただくことになります。