話が進んでくると、最初の問題点を忘れてしまうことがあります(その2)
通常の遺産分割事件であれば、調停で話がまとまらなければ、審判手続に移行し、裁判所が最終的に決定してくれます。しかし、銀行預金だけが相続財産の場合、原則として、銀行預金は遺産分割対象財産ではないので、審判手続に進まずに、調停がまとまらなければ手続終了となってしまうようなのです。私は、調停室に入ることができないので、直接説明を聞くことができなかったのですが、ご本人は「審判手続には進まない」と説明を受けたそうで、裁判所はこのような運用をしているようです。話し合いの場は提供するけど、最終的にどうするかは自分達で決めて下さいということでしょうか?結局は、調停で妥協できる範囲と、今後の手続負担を比べて、調停をまとめるか、調停をあきらめて裁判等、別の方法を選択するか決めることになります。依頼者の方から、「審判手続には進まないそうです」と言われて、「はっ」としてしまいました。話が進んでくると、最初の問題点を忘れてしまうことがありますが、事件がどのように進んでも、事件の本質を把握しておかないといけないな~と改めて感じた出来事でした。