再出発日記

2005/11/21(月)00:55

「総動員の時代」あるいは歴史として記録するということ

読書(ノンフィクション)(32)

総動員の時代―私たちはこうして戦争に呑みこまれた 岡山・十五年戦争資料センター編 -: 317 p ; サイズ(cm): 出版社: 吉備人出版 ; ISBN: 4860691024 ; (2005/07) 一般的に、映画や漫画や小説の世界で、勤労動員、朝鮮人の強制労働、満州への満蒙開拓青少年義勇軍、物資の動員などはその背景の中でよく扱われているが、実際『誰がどこでなぜどのように何を』動員されたのかという歴史的科学的な検証は充分にされたとはいい難い。東京を中心とした研究は多いかもしれない。しかし地方において実態はどうであったか、おそらくほとんど書物が出ていないのではないだろうか。 この本は全国でも珍しい地方在住の学者や高校教員たちが15年戦争の歴史を研究している「岡山・十五年戦争資料センター」が出した初の本格的な単行本である。会報は98年以降毎年出していたらしいが、この本は『総動員』に関してはその集大成に当たる。思うに資料的価値は高いと思う。面白いのは『精神の動員』として民話の中の『動員』まで載せていることであろう。岡山民俗学会会長の立石氏の『木の召集』『猫の供出』『カラスも戦争に』『カラスが弔いに』は読み物としても面白い。

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