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2006年02月15日
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構造改革政治の時代
「構造改革政治の時代 小泉政権論」花伝社 渡辺治
現代政治社会学者でもっとも鋭い論陣を張っており、90年代からずっと改憲論の社会的背景を論じつづけてきた著者の去年の12月に出た最新の論説集である。序章は「9.11総選挙の結果と小泉政治の新段階」となって非常に読み応えが有った。この本の本論の要約にもなっているのだが、自分の勉強も含めてそのさらに私なりの要約を行いたい。だから文責は私に有る。私自身もよく分かっていなくて書いているところもあるが、この決して長すぎることの無い文章によって今日本で起きていることは何なのか「森の全体」が、私は見えてきた。

一、小泉は解散・総選挙で何を狙ったのか。
1.総選挙にこめた二つの狙い

一つは、小泉政権下で追求してきた構造改革の急進政策全体の加速化である。小泉は90年代以降の二つの課題「軍事大国化と構造改革」の遂行があまりにも遅延していることにいらだつ財界や急進派の支持と、小渕、森政権の続けた緩慢な構造改革路線かもたらす「泥沼」に飽き飽きして急進的実行に期待を寄せた大衆に期待に支えられて、前代未聞の高支持率を背景に登場した。98年の参院選大敗により自民党はもともと熱心でなかった構造改革で支持基盤を切り捨てることの危うさを知らされる。その修正をしたのが小渕、森であったが、構造改革の目標であった「財政支出の削減→法人税の軽減」とは逆に急速に雪だるまのように財政赤字を膨らませた。財界はいらだち、自民党内の急進派が台頭し、加藤紘一が一敗地にまみれたあと小泉が勝利する。自民党内の「抵抗勢力」に対しては小泉は「世論」を背景に立ち向かったが、中身はすべて福祉や既存のサービスの切り捨てであり、本質はグローバル企業の自由や市場の拡大を目指すものであったから、熱狂的な支持を持続的に調達することは出来なくなった。2004年の参院選では大都市層の小泉への疑いが民主党への巻き返しになった。よって小泉は当初の思惑とは異なり、北朝鮮訪問などの外交により支持率を挽回するという自体を余儀なくされた。これらの巻き返しとして使ったのが、郵政民営化法案否決にかこつけた今回の解散、総選挙てあったのである。民営化問題の中には構造改革をめぐって対立する担い手や論点が出揃っていた。これを財界は強く支持した。経済同友会は異例の速さと露骨さで解散支持を表明した。(8月8日記者会見)財界は今までは保守二大政党を闘わせて構造改革を進めるという姿勢だったのであるが、これはそれだけ改革加速化への期待が大きかったことを示している。
もう一つの狙いは「抵抗勢力」に打撃を与えるということであった。財界はこれも支持した。小泉は郵政民営化反対派をあぶりだし、その全てに対立候補をたてることで抵抗勢力の駆逐を試みたのみならず、候補の決定を県連や派閥が反対派に回ったのを奇貨としてこれらの既存システムを無視し中央の独断で決定することにより、自民党の既存気候の無力化と弱体化をも図ったのである。

2.選挙戦の二つの戦術
一つは「刺客」戦術である。これにより小泉は中央主導体制を貫徹した。地方利益誘導型の候補との対決という従来型の選挙では勝てると踏んでいた反対派はこの時点で読みを間違えた。小泉は当初は抵抗勢力を落とすことを第一と考え、民主党に漁夫の利をさらわれてもいいと考えていた。マスコミの関心を大いに集め、結果的には「刺客」候補は14で勝利し、郵政反対派は15、民主は4しか取れなかった。この選挙は小選挙区制のなかで、党公認の資金力、マスコミ宣伝の強さ、選挙基盤の弱体化を見事にあらわした。
もう一つは、獲得を目指すターゲットを自民党の伝統的支持基盤から、大企業のホワイトカラー層を中核とする上層にシフトしたことである。小泉が意図的に無視した農村部、大都市部の中小零細企業経営者、商店や自営業者、中小企業労働者、非正規雇用層、高齢者などは公明党との分業になった。これにより、小泉は公明党は切れない。この方式は先の米大統領選挙でブッシュが行った戦術と類似している。

3小泉自民党「大勝」の要因
ひとつは、「構造改革」に期待する上層を民主党から奪い返し獲得したことである。だから注目しておくべきは今回の票は、大都市部の上層の票を総取りした結果であって、決して、階層横断的に満遍なく票を集めた結果ではないということだ。ここに、小泉政権の強さも弱さもあるのである。
ひとつは、結果的に農村部でも、自民党票は、停滞するか、減ってもわずかにとどまった。理由は受け皿の政党が無かったからである。民主党は自民同様構造改革急進政党だから、不信票を獲得することは出来なかった。共産党や社民党は小選挙区効果がもろに効いた。共産、社民に入れても票にならないというあきらめが両党が受け皿になるのを妨げたのである。だから北海道では唯一の受け皿に見えた新党大地が票を獲ったのである。
ひとつは、小選挙区効果である。内容は省略。ただ、この制度の最大の害悪はこれからなのだ。当選の見こみの無い少数政党は次第と淘汰され、保守二大政党制が確立することである。

4.選挙後の政治配置
一つは、自民党の構造改革党への純化である。これは決して一時的なものではなく、小泉退陣後も若干のゆれ戻しはあるものの、党の体制として定着を見ると予測される。
一つは、民主党のなかでも、「連合」出身系議員、旧社会党、民社党議員の落選が相次ぎ、ここでも構造改革党への純化が進んだ。
一つは、自民大勝の結果、公明党の比重の低下が生じた。公明党には二つの可能性が有る。自民にすりより、靖国反対、憲法改正や教育基本法改正への自民方針への追随するのだ。自民が民主党との大連合をちらつかせてそうなる可能性は有る。一方、運動や国民世論が盛り上がった場合には、公明党がキャスティグボートを握ろうとして、憲法、教育基本法改正で、消極的、慎重な態度を鮮明にする可能性も有る。
一つは、参院の地盤沈下である。郵政以外の法案に対しても、衆院の意思とかけはなれないような抑制が働くことが予測される。







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最終更新日  2006年02月16日 00時30分01秒
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