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再出発日記

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2006年06月19日
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カテゴリ:平和運動
前回少ししか時間が取れなかった無言館展にもう一度行ってきた。

6月17日14:00より『無言館展』を訪れ、村上彩子(東京藝術大学生)の協賛企画「~愛と祈りのコンサート~」があり、その素晴らしい歌を聴いた。彼女は、OLをしていたときに阪神大震災にあい、諦めていた音楽の道を再度志すことに決める。しかし甘くなく、芸大入試に四度失敗。自殺を考えて無言館に訪れたところ、同じ芸術を志し、途中で死ななくてはならなかった人びとの生の絵を見て打ちのめされたらしい。七度目の受験で合格。2006年5月「第5回水芭蕉忌コンサートIN愛知 名古屋公演」で文部科学大臣賞受賞。「ご恩返し」にいま全国を回っているらしい。戦没音楽生の遺品の中にあった葛原 守作曲「犬と雲」。あるいはその父親の作詞、葛原 しげる「とんび」などを歌う。
「飛べ、飛べ、飛べ、とんび。
 空たか~く。
 鳴け、鳴け、鳴け、とんび。
 青空に。
 ぴ~ろ、ぴ~ろ、ぴ~ろ……」
飛んでいった先は息子のところだろうか。鳴いているのは、しげるさんだろうか。と、村上さんは言います。

絵もそうだが、音楽も、何年たっても出来たばかりのような生々しさがある。芸術を遺すということはこういうことなのかな、と思う。

前回は戦没者画学生の残した自然のみごとさが印象に残ったが、今回は主に、戦没者と遺族との濃密な関係が印象に残った。

「あと五分、あと十分この絵を描かせてくれ……」といい、恋人の「裸婦」を描いて往ってしまった、日高安典は有名であるが、かんじんの絵は複製画であった。残念。
それよりも私は佐久間修の女房のデッサンの前に暫く佇んだ。「裸婦」説明書きにはこうある。「佐久間修は愛する妻の裸体を初めて描いた。それは美しく、そして初々しいデッサンだった。この作品を遺言として佐久間はまもなく長崎県大村市でB29の直撃弾を浴びて死ぬ」若い女性が身体を捻りながら横たわっている。上を向いている。緊張した面持ちと、全てを委ねた様な眼。ふたりだけの無言の会話がなされたに違いない。このデッサンの中には「時間」が描かれている。

原田新「妹・千枝子の像」一張羅の着物を着て、丸こい顔立ちの妹が椅子に座ってポーズを取っている。それを明るい色調で、真面目に写し取ろうとする兄。

遺品コーナーのなかに一枚のハンカチーフがある。原田龍馬。関東州の病院から姉多美子に最後の力を振り絞りながら描いたという芍薬の絵のハンカチーフである。そんな絵には見えない。優しい花が置かれている。

渡辺武。1944応招。翌年沖縄首里にて戦死。27歳。「せめてこの絵の具を全部使い切ってから征きたい。見守る両親にそういいながら武はなかなか絵筆を置こうとしなかった。外では近所の人が出征兵士を送る万歳が聞こえていた。さ、早く、せかせる父のそばで母が泣いていた。」武の絵を見ると、誰とも違う明確な個性が浮き登っている。茶系等を主にしたゴーギャンのようなタッチ。けれども、出てくる人物は全てうつむき、悲しんでいる。

妻に400通を超える絵葉書を送ったという前田美千雄。どれもが「生きて帰ってくるまで待っていてくれ」という愛の便りだった。彼の「風景(4月4日)」という水彩画を見ると、戦地の海に面した風景をスケッチしたのだろうか。日本ではない、茶色い土地を手前に、平和な白い雲と青い海がその向こうに広がっている。







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最終更新日  2006年06月20日 01時23分09秒
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