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カテゴリ:邦画(05・06)
監督:金子修介 出演:藤原竜也、松山ケンイチ、瀬戸朝香、香椎由宇、細川茂樹、戸田恵梨香
名門大学に通い、警察幹部を父に持つ秀才夜神月(やがみライト)。彼は偶然手に入れた、名前を書かれた人は死んでしまうノート“デスノート”を使い、法で裁かれない犯罪者を次々と殺していく。顔と名前が一致したなら、その人間の死を自由に操ることが出来るのである。ライトの目的は犯罪のない理想社会の実現だ。ライトは「正義のためなら悪人は殺してもかまわない。」「こんな簡単なことで、世の中から犯罪がなくなった。これは革命だ。」と嘯く。一方ICPO(インターポール)は犯罪者の大量死を殺人事件と考え捜査を開始。世界中の迷宮入り事件を解決してきた謎の探偵・Lを捜査に送り込んできた。そしてライトとL、2人の天才による壮絶な戦いが始まるのだった。 さて、前編の途中まではライトはまだ凶悪犯しか殺していない。テレビインタビューの九割は「キラ(ライトの世間的な通り名)は救世主だ。」「キラは正しい。」と答える。原作は少年ジャンプ連載の漫画らしい。20代の若者の9.11以降の世界の見方が垣間見えて面白い。ただ、いかんせん、原作者や映画製作者の限界なのだろうか、社会の見方や人間観察があまりにも幼稚だ。例えば、もしこんなことが起こったら、世間はキラを2割も支持しないだろう。(恐らくマスコミは反キルキャンペーンを始めるだろう)人間はつぎつぎと死んでいくのだが、死にゆく演技があまりにも漫画的。せっかく面白いテーマなのに、人の死が記号としてしか描かれていないので、話に深みがない。金子修介監督は同じテーマで宮部みゆき原作の「クロスファイア」を撮っている。この映画の場合はかろうじて一人の女性の内面まで描けたと思う。ライトは後編のほうでどのように変化するのかわからないが、人を殺していくのにあまりにも悩みがない。いみじくも死神から「お前は悪魔だ」といわれるのだが、悪魔はもっと魅力的に描いて欲しい。 後編がどうなるかで、この評価が変わればいいのだが、今のところは後半にお金を出すような気になれない。同じテーマを扱ったドストエフスキー「罪と罰」あるいは、メフィストとの契約の元、人間の欲望への探求の旅をしたゲーテの「ファウスト」を読むことを勧める。 ただ、この映画をきっかけとして、藤原竜也ファンの中学生から大学生までの頭の柔らかい人たちが、「正義の殺人ってありえるの」とか「死ぬってどういうことなんだろう」とか「管理社会ってどんな社会だろう」とか話題にするようなら、この映画も意味があるだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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>「正義の殺人ってありえるの」とか
>「死ぬってどういうことなんだろう」とか >「管理社会ってどんな社会だろう」とか >話題にするようなら、この映画も意味があるだ >ろう。 これは同感です。 このようなテーマで、それが改憲や共謀罪や 徴兵制や武力介入などについて若者たちの 間で真剣に議論されるなら、この映画の出来は さほど問題ではないと思います。 トラックバックをありがとうございました。 こちらからもさせていただきます。 (2006年06月24日 06時01分21秒)
TBありがとうございますm(_ _)m
リュークが月に対して「おまえは悪魔だ」 と言ったのは、人を都合よく利用したり、 ノートを使って犯罪者の命を奪うことに躊躇 いがないからだと感じます。 つまり「人間の言い分」とゆーモノに対し て耳を貸さない存在とゆー意味ではないかと。 もちろん本当の悪魔はもっと魅力的に描かれ るべきだとゆー点に関しては同感です。 (2006年06月24日 10時19分49秒)
「真の正義」はあるのでしょうか?
「正義」の名の下に行われる国家や集団による死刑や戦争、ゲリラという殺人。 無期懲役と死刑を廃止して終身刑を作ってほしい...とは思います。悔悛していない犯罪者が野放しにされる現状は恐ろしいですし。 (2006年06月24日 11時31分23秒)
>哲0701さん
ホントに改憲問題ぐらいまで、話が広がってくれればいいのですが、学生の間でそもそもそんな話題をすることがあるのでしょうか。でもしてほしい。その話題作りのための一見関係もないようなバナーなのですが……。 >migさん 原作を読んでみたい気になっています。 >たましょくさん 「罪と罰」ではラスコーリニコフが「一般的に殺人でも、ナポレオンなら英雄になる」という理論を展開します。月の言い分とどう違うのか、などと反論することも出来ますね。 >ボンボさん テンポはいいので、娯楽作としては悪くはないのですがねえ。 (2006年06月25日 00時48分11秒)
何度か試みているのですが、
TBを受け付けてもらえないようで... 私はきっちり最後(後編)まで観てから 漫画のほうも読んでみようと思っています。 (2006年06月25日 09時24分43秒)
いとっち@映画館で観ましょ♪さん
コメントありがとうございます。 TBは相性悪いプログがあるみたいですね。申し訳ありません。次回からはTBきても、返さなくてもいいですからね。 原作今日三巻まで読みました。三巻までで、「前編」です。評価はやはり全巻読まないとわからないなあ。 (2006年06月26日 02時54分34秒)
takaさん
>「キル」じゃなくて、「キラ」ですよ。 >あ、これは削除おねがいします。 >「キル・ビル」。 ----- ご指摘ありがとうございます。全然気がつきませんでした。こっそり直しました。 キルではあまりにも直接的な名前で若者が名づけるはずないですよね。キラは綺羅に通じるのでしょう。 (2006年07月03日 07時05分39秒)
幼稚で漫画的なのは、少年誌が原作ですから
仕方ないですよ。 原作ファンのイメージを壊さないように 金儲け優先で作った映画に、多くは望めませんよ。 キラは、殺人者のキラーからだそうです。 (2006年10月29日 00時16分52秒)
YOSHIYU機さん
コメントありがとうございました。 >幼稚で漫画的なのは、少年誌が原作ですから >仕方ないですよ。 >原作ファンのイメージを壊さないように >金儲け優先で作った映画に、多くは望めませんよ。 その子供だましの映画が普通の邦画程度の入場者ならなんとも思わなかったのですが、これだけヒットすると、無視できなくなるのです。 YOSHIYU機さんのような評価ばかりだったらいいのですが、子供だけが読んでいるのではなく、ブロガーの感想を見ると、どうやら半数以上がすでに原作を読んでいたらしい。 またいつか原作の感想をアップしたいと思います。 (2006年10月29日 08時22分09秒) |
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