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テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:邦画(05・06)
監督:出目昌伸 出演:松平健、ブルーノ・ガンツ、阿部寛、國村隼、高島礼子、大後寿々花
1914年、第1次世界大戦が勃発し、日本軍はドイツ軍の極東拠点地である中国・青島を攻略。この戦いで捕虜となったドイツ兵4700人は、日本国内12ヶ所の俘虜収容所に振り分けられた。劣悪な環境下で囚人同様の扱いを受けていた捕虜たちは2年後、収容所の統合により徳島県鳴門市にある板東収容所へ移される。新たな地獄を覚悟していた彼らを待っていたのは、意外にも楽隊による盛大な歓迎。松江所長の寛容な待遇を目の当たりにし、一同は驚愕する 「こんな収容所、日本にもあったのか……」収容所内ではさまざまな自由が与えられている。パン、ソーセージの製造。機関紙の発行。中学生に器械体操を教えること、外へ出て音楽の指導。「本当だろうか……」と思う観客の気持ちを先回りして、これらの生活をつぶさにカメラに収めるドイツ若年兵の存在も描いている。おそらくその写真記録に基づいて映像も再現しているのだろう。しかし、驚くほうが間違っているのかもしれない。松江所長はハーグ国際条約を忠実に守っているに過ぎないのである。ドイツ兵が解放されてから10数年後には、日本は満州で某重大事件を起こし、国際条約を無視し、国際連盟を脱退するのである。よく考えると、日本という国はたった10数年でそこまで行ってしまったのだという事にいまさらながらに驚く。 名優ブルーノ・ガンツを見に行ったのだが、あまりにも抑えた演技であって、見所はなかった。収穫は「SAYURI」でも熱演した大後寿々花。彼女の泣き顔演技は、宮崎あおいのふてくされ演技を凌駕するかもしれない輝きをもっている。 収容者が第九を演奏し、歌うクライマックスシーンはあまりにももったいない。それまで何とか全出演者を一同に出して盛り上げていたのに、第四楽章にはいったとたんにブルーノ・ガンツは演奏を抜け出し、松平健は部屋に帰って意味のない演技をする。ここの監督の意図は分からない。 エンドロールの5000人の第九の映像にはびっくりした。日本のこれにはドイツの人たちもびっくりするだろう。本当はこれだけが、世界に発信できる映像だったのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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