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テーマ:映画館で観た映画(8344)
カテゴリ:邦画(05・06)
片想い映画というのは、全世界で年何本も作られる。三角関係になったりなんかすると、仏映画「冒険者たち」「歓楽通り」のようにたいていは悲劇で終わるだろう。
監督 : 高田雅博 出演 : 櫻井翔 、 蒼井優 、 伊勢谷友介 、 加瀬亮 、 関めぐみ この映画はそんな片想い映画にはならなかった。 彼らは美大生だ。美大の世界が延々と描かれる。梁山泊のような下宿、突出した才能に対する尊敬と諦め(嫉妬と憎しみが無いのが異様)、バイトと将来への微かな不安。けれども彼らの人生はこれからだ。彼らもそれは自覚している。だから悲劇には突き進まない。確かに現実の片想いというのはこんなものなのかもしれない。 ……でもね、それで彼らはお互いよく理解したのだろうか。貴重な青春の日々、悔いの無い様に生きたというようになっているのだろうか。櫻井君の気持の落ち着かせ処はあれはあれでまあいいとして、ほかの登場人物はあれでいいの?これは群像劇ではなかったの? 何に不満かというと、映画で描かれる絵・彫刻が良くない。ここには思いっきり金を注ぎ込んで欲しかった。あれで若き才能がほと走る絵なのだろうか。なんかどこかの詩の雑誌の背景画の様にしか見えなかった。あそこに説得力が無いものだからすべてが嘘っぱちのように感じる。 俳優たちはそれぞれ役に成り切って頑張っていると思う。蒼井優はこれしかありえないというような声と演技でピュアな少女になっていたし、関めぐみは写真からは想像がつかないような存在感があった。彼女は最近の映画で引っ張りダコだ。これからが楽しみな女優ではある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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こんにちは♪
芸術を扱った映画って、そこに出てくる作品が結構重要な役割を持ちますよね。 はぐちゃんの絵や森田さんの彫刻は確かに「?」と思う部分もありました。 彼らは映画の中では一応“天才”扱いですからねぇ。 むずかしいもんだな~と思って見てました。 (2006年07月29日 10時12分56秒)
ミチさん
TB&コメントありがとうございます。 漫画のファンだったりして、あの世界に簡単に入り込める人には問題ないのでしょうが、私のような天邪鬼には無理でした。 本記事に少し論理の飛躍があると感じたので、少し補足。森田の才能、はぐチャンの天才は、三人にとっては片想いなわけです。たどり着けないけど、ずっと見ていたい。でも作品に説得力がないものだから、その片想いの相手が実在の人物のように思えない。彼らは幻想に恋しているように思えるのです。 もちろん、加瀬亮と関めぐみの関係は才能についての関係ではなく、純粋な片想いです。でも彼らの関係はあくまでもサイドストーリーであるし、しかも肝である「理花さん」のどこがそんなに素晴らしいのか描いていない。(恋だから説明できないというのでは映画はなりたたない、もっともサイドだからそんなところまで描かなくてもいいというジレンマもある。)ここに当然説得力がないものだから、 彼らの片想いにも共感できない。 片想いものは大好きなんですが、ゆるゆるの片想いでもいいのですが、ファンタジーに描いてもらうと困るんです。 (2006年07月29日 12時08分36秒)
お久し振りです.この映画は見ていないのですが,何となく納得できる部分があります.小道具にもう少し凝って欲しいのですよね.「真珠の耳飾の少女」というフェルメールの「青いターバンの女」をモチーフにした映画がありました.ラピスラズリを砕いて粉末にし,リンシードで溶くと,鮮やかだった青が深い青に変化してゆく.そういう描写が実に良かったのですが,こういう描写が残念ながら日本映画には少ないのです.おそらくまだまだ予算やスタッフの制限がきついのでしょうが,やはり趣味性の高い作品でないと,一時はもてはやされても長続きしないのではないか,と思います.そういえばNHK・BSで「拝啓天皇陛下様」を見ましたが,1963年岡山で制作されたとのことで,古い町並みも今は亡き名優達も素晴らしかったです.蛇足になりました.
(2006年07月29日 22時20分55秒)
tantanmenさん
お久しぶりです。コメントありがとうございました。 >「真珠の耳飾の少女」というフェルメールの「青いターバンの女」をモチーフにした映画がありました.ラピスラズリを砕いて粉末にし,リンシードで溶くと,鮮やかだった青が深い青に変化してゆく.そういう描写が実に良かったのですが,こういう描写が残念ながら日本映画には少ないのです. なるほど、そのような描き方で、なおかつ絵の全体は見せないようにすれば、はぐの天才をもしかしたら示せたのかもしれません。 そういえばNHK・BSで「拝啓天皇陛下様」を見ましたが,1963年岡山で制作されたとのことで,古い町並みも今は亡き名優達も素晴らしかったです. 情報ありがとうございます。最近はツタヤがこれらの入手しにくかった過去の名作を精力的に集める様になっていて、確かに私の近所にも置いてあったと思います。岡山が舞台だなんて知りませんでした。さっそく借りてみます。 (2006年07月30日 00時33分52秒)
登場人物のみなさん、人を陥れてやろうとか騙そうなんてことが世界にあることすら認めなさそうな「いい人」ばかりでしたね。
『タイヨウのうた』にもそうした面がありましたけど、そういうぬるさが好まれる時代なのかなぁ。 劇中に登場するアートワークですが、完成した出品予定の絵画を見せず、手すさびの海の絵を見せるのは、ちょっとヒキョウですよね。 彫刻のほうは「1週間前のほうが良かった」なんてやりとりさせた挙句に燃やされる「駄作」って設定ですから、あの程度でよかったんじゃないかと(笑)。 芸術方面の造詣が深くないので、映画の小道具として機能しているかどうかの評価しか出来なくてすみません。 てなわけで、TBありがとうございました。 (2006年08月04日 09時48分15秒)
にらさん
コメントありがとうございました。 >『タイヨウのうた』にもそうした面がありましたけど、そういうぬるさが好まれる時代なのかなぁ。 どうなのだろうなあ。 日本的らしいというのもあるかもしれません。 暗く描くと、これが本当に救いなくどろどろになったりする。 韓国の場合は、性善説的なので暗くならないのだとは小倉紀蔵の説。フランスの場合は、罪は罪として描くけど、あくまでも美しい。 >劇中に登場するアートワークですが、完成した出品予定の絵画を見せず、手すさびの海の絵を見せるのは、ちょっとヒキョウですよね。 >彫刻のほうは「1週間前のほうが良かった」なんてやりとりさせた挙句に燃やされる「駄作」って設定ですから、あの程度でよかったんじゃないかと(笑)。 > >芸術方面の造詣が深くないので、映画の小道具として機能しているかどうかの評価しか出来なくてすみません。 彫刻はそうなんですが、絵のほうは色の選定の段階から、みんな「天才」だと認めているわけです。やっぱり無理がありましたね。 いま関めぐみに注目しています。彼女の次の主演作に注目したい。 (2006年08月04日 11時00分59秒)
KUMA0504さん、おはようございます♪
相互TBありがとうございます♪ ハチクロは身近な感じの映画だなと 思いました。 現実の片思いって、多分あんな 感じに近いと私も思いました。 私、今HPでウェブ漫画「咲くら」 というものを描いております。 塾講師という職業柄 受験をテーマにした漫画なのですが ご覧いただければ幸いです♪ それでは♪ 受験ウェブ漫画「咲くら」HP http://sakura-site.com/0toppage/index1.html (2006年08月05日 08時33分59秒)
宮本みなみさん
コメントありがとうございます。 >ハチクロは身近な感じの映画だなと >思いました。 >現実の片思いって、多分あんな >感じに近いと私も思いました。 > うーむ、私は実は少し違和感がありました。 というのは、片想いって全部イタイものだと思っていました。彼らの片思いは客観的にも心情的にも確かにイタイのですが、描き方はあくまでも痛くないんです。(分かりにくいですね)それは彼らに未来があるから、作者の描き方がそうなっているのか、それとも今独の若者はそもそも片想いって痛いものだとは自覚していないからそうなるのか分からないのですが。 >私、今HPでウェブ漫画「咲くら」 >というものを描いております。 >塾講師という職業柄 >受験をテーマにした漫画なのですが >ご覧いただければ幸いです♪ 少し見させてもらいました。 塾の生徒からは、次回は「こうなって欲しい」とか「こうなるべきだ」とか意見は来ませんか。そんなふうな等身大の漫画ですね。こんな形の漫画があってもいいと思います。 (2006年08月06日 12時32分01秒)
宮本みなみさん
……と、分かったようなえらそうなことを言ってすみません。全部読みきっていないのに……。これだから「あなたは評論家ね」といわれて彼女に振られて、片想いは痛いとしか実感できないわけなんですよ……。 (2006年08月06日 12時36分31秒) |
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