再出発日記

2006/08/05(土)10:22

この10年のつけ

平和運動(245)

7月31日に、朝日の一面トップの記事について書いた。「偽装請負」による現代の非正規労働者の置かれている状況を「社会の基盤さえ揺らぎかねない」と書いた。 31日時点ではまだグラフはウエブ版にはついていなかったのだが、今ついていたので紹介したい。少し見にくいので、拡大してみた。 このグラフは、ワーキングプアや格差社会の原因が、決して単なる個人の能力や家庭事情の差によるものではなく、あるいは不況によるものではなく、明確に政府の方針によってつくられてきたのだということをよく見ると示しているだろう。 政府は、単純に言えば、不況からの脱出を、新産業の育成や販路の拡大、消費の拡大に力をいれずに、人件費の抑制、つまりは構造改革という名のもとにリストラがしやすい社会構造に変えるということに力を入れてきたのである。 この表にはないが、1995年日経連は『新時代の「日本的経営」』を発表している。終身雇用をやめて非正規雇用を増やし、、年功賃金をやめて成果主義にするという方針を決めたわけだ。政府の作る法律は見事にそれに沿っている。そして97年、政府は医療費の本人負担を一割から二割に、消費税を3%から5%に引き上げた。もし今の状況を変えたいと思うのであったら、10年前に戻り、『医療費と消費税の引き上げ反対、雇用を守れ』と10万人の人間が東京でデモ行進をしたあのときに運動をさらに盛り上げる必要があった。(せめてこの春のフランスの運動ぐらいには)しかし、10万人のデモ行進なんてほとんどの人は知らない。日経連の方針なんて誰も知らない。マスコミが報道しなかったら?それはもちろんそうだ。しかしそれだけだったのだろうか。私は分からない。 総務省の労働力調査によると、2005年、非正規社員の8割は200万円未満だ。(100万円未満44%、100~199万円34.2%、200~299万円12.4%)採用状況の改善で彼らは正規になれるのかというと、たぶんなれない。5年後に不正規のままという可能性は30台前半で男75%女70%という推計もある。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)これは政府が結婚が出来ない世代、結婚が出来ても子供を作れない世代を結果的に作ってきたということだ。10年前までは経済界はまだ『パイの理論』を言っていた。「景気さえ良くなれば、君達にもお金が回って来るのだから今は我慢しよう。」それは破綻した。そうやって庶民は騙されてきた。 フリーターの若者が子供を持とうと思ったなら、理性的な考えは捨てて、花火大会なんかで盛り上がって、種をバンバン植え付けて、後先考えずに出来ちゃった結婚をする以外にはない。いや、マジに若い人にはオススメする。若い人が持っている一番の財産はお金でも、学歴でもなく「若さ」なのだから。幸せなんてものはどこから転がり込んでくるか分からない。 6月13日、厚生労働省が発表した労基法改正案には「週40時間の規制を外し、無制限に働かせる」など問題点がいっぱいだ。これにストップをかけることができないようでは、もう労働問題に関しては未来はないといっていいのかもしれない。このことについてはまた次の機会に。

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