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2006年08月14日
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テーマ:本日の1冊(3685)
「画家だったお父さんに絵を学び、兄弟そろって父に負けない画家を目指していた山之井龍郎、俊郎の合作「少女」を見てください。これは、24歳と21歳の若さで戦死した山之井兄弟が、出征する前に近所の少女をモデルにして二人で一緒に描いた作品です。
 おかっぱ頭の少女が、草色と黄色の混じった画面の中でいかにも元気そうに、でもちょっぴりべそをかきそうな顔で描かれています。少女の服装には、あの昭和の初めの頃の雰囲気が漂って、膝に置いた手に少女の緊張が現れています。
 (略)龍郎、俊郎さんの描いたこの絵からは、「お兄ちゃん!戦争に行かないで!戦争に行ったら死んじゃうよ!死んだら絵が書けなくなっちゃうよ!」そんな少女の声が聞こえてくるようです。」
ちくまプリマー新書 窪島誠一郎「無言館にいらっしゃい」より
「無言館」にいらっしゃい
6月に来た岡山の無言館の巡回展のポスターは、山之井兄弟の「少女」の絵だった。山之井龍郎「大正9年7月、神奈川県横浜に生まれ、幼いころから、映画の看板などを描いていた画家の父の仕事を手伝う。小学校を卒業後、昭和16年に出征し、シンガポール、サイゴンなどを転戦したのち、一時帰国するが、すぐに再び出征、20年5月フィリピンルソン島で24歳で戦死。」山之井俊郎「兄龍郎とともに画家の父の仕事を手伝う。小学校を卒業後、千葉県兵隊養成所に入り、昭和18年に出征、19年4月南方に向かう途中輸送船が攻撃を受けて21歳で戦死。」無言館に展示されている絵は、画学生の絵ばかりではなく、独学で絵をかいていた山之井兄弟のような絵もある。

兄は地獄をくぐって敗戦まであと一歩のところにいた。弟の戦死を知ることは出来たのだろうか。フィリピンルソン島ーー大岡昇平「野火」を読むと分かるが、兄は地獄の中で死ぬ。美しさとはなんだろうか。兄弟にとっては、間違いなく、二人で書いたこの絵はそうであろう。

暑さが日本中を覆っている。この気候はまるで亜熱帯地方のそれじゃあないか。うだる様な暑さ。時々スコールが予測もつかずにやってくる。この暑さの中、兵隊たちは地獄をさまよっていたのだろう。

地獄といえば、キム・ギドク監督の「コースト・ガード」(2002)をDVDで見た。「ブラザーフッド」のチャン・ドンゴン主演、といいながら、派手な戦闘シーンはない。南北軍事境界線に近い海岸に送られた若き兵士の悲劇を描く。ひとりの兵士の狂気が次第次第と全体に移って行く。非常にリアルで、しかも下手なホラー映画よりは怖い。戦争は人間を地獄に落とす。

また一度、無言館に行きたいと思う。

人間が見ることのできる美しさをみたいと思う。







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最終更新日  2006年08月15日 00時36分21秒
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Re:無言館にいらっしゃい(08/14)   薔薇豪城 さん
 龍郎にいさんが妹にあてた手紙に「可愛い可愛い妹よ。(中略)どうか成長した兄が祖国に帰る日を待っていてください」とありましたね。若い才能、家族の悲しみ、いろいろな意味でもったいないことです。キムギドク監督の映画は何年か前にアジア映画祭かなんかで見ました。監督も参加していたんですが、筋肉質で精悍そうなかっこいい人でした。司会者が「韓国の北野武」って紹介してましたけど、北野映画が嫌いな私は「それはキムギドク監督に失礼じゃないか」と思いました。深さが全然違うと思うんだけど。コーストガード、見てみたいですね。 (2006年08月15日 10時29分11秒)

Re[1]:無言館にいらっしゃい(08/14)   KUMA0504 さん
薔薇豪城さん
> 龍郎にいさんが妹にあてた手紙に「可愛い可愛い妹よ。(中略)どうか成長した兄が祖国に帰る日を待っていてください」とありましたね。若い才能、家族の悲しみ、いろいろな意味でもったいないことです。キムギドク監督の映画は何年か前にアジア映画祭かなんかで見ました。監督も参加していたんですが、筋肉質で精悍そうなかっこいい人でした。司会者が「韓国の北野武」って紹介してましたけど、北野映画が嫌いな私は「それはキムギドク監督に失礼じゃないか」と思いました。深さが全然違うと思うんだけど。コーストガード、見てみたいですね。
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コメントありがとうございます。
ルソン島五月戦死というと、まだ軍隊の秩序はわずかにあるが、食料はないから病人はほっとかれるという状態だったのではないかと思います。龍郎さんはどちらにせよ、地獄を見たでしょうね。

キム・ギドクは「受取人不明」にしろ、今作にしろ、初期の作品は明確に社会派でした。それを基盤に現在の「罪と罰」の世界に入っていくわけです。彼の作品はすべてみようと思っています。比較的DVDも出回っているのでお勧めです。 (2006年08月15日 22時05分14秒)

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