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2006年12月28日
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カテゴリ:洋画(05・06)
監督 : クリント・イーストウッド
出演 : 渡辺謙 、 二宮和也 、 伊原剛志 、 加瀬亮 、 中村獅童
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戦争に現れる多くの悲劇を描き出して見事な映画である。日本人が見てまるきり違和感が無い。まるで日本人が作ったかのような日本の軍隊の実態、自然なせりふ。ところが今までの日本人監督はこのような軍隊の実際を映画にしてきただろうか。「野火」「真空地帯」などをまだ見たことが無い私には「してきていない」と断じることが出来ない。ただ、日本映画界は、この数十年間ついにはこういう映画を成立させることが出来なかった現実をきちんと考えなくてはならない。それは日本の問題である。

アメリカにとっては違う。第一部は、戦場の場面と、アメリカのプロパガンダという二つの舞台をしつらえることで、現代アメリカ本土の問題をあぶりだし、この映画ではまっすぐイラク戦争で死んでいったイラクの人々のことを念頭に入れているのだろう。イーストウッドは見事な反戦映画を作った。映像は硫黄島の土の色を基調に映される。単色かと思うと時々現れる鮮烈な血の色により、ああこの色は戦争体験者の心像風景なのだな、と納得するのである。我々が体験するのはたった二時間であるけれども、実際のそこに居た人は何ヶ月もこういう世界で地獄を見るのであろう。

実はイーストウッドの映画を観るようになったのは「ミスティックリバー」から。この作品に関しては、最後の場面がどうしても納得いかなくて、彼の力量を勘違いしていたままだった。驚愕したのは「ミリオンダラーベイビー」によって。個人の誇りと人との関わり、罪と罰と許しの関係、生きるということと死ぬということを、数少ないせりふと重厚な演技と、同時にエンターテイメント性を持った映像で見せ付けられて、脱帽した。
実はそれらのテーマや、映画の作り方は「父親たちの星条旗」にも現れるし、この「硫黄島からの手紙」でも濃厚に現れる。そして、どの作品でもそうなのだが、決して涙腺を刺激させない淡々としたつくり方をしているのである。これはなかなか出来ることではない。
正に名監督の道を一歩一歩確実に歩んでいる。その映画を本国よりも早く観る事の出来た栄光を我々は知っておくべきなのかもしれない。





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最終更新日  2006年12月28日 17時49分28秒
コメント(10) | コメントを書く
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■コメント

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年末年始に観たいな・・・。   N.カナエ さん
戦争を描いた映画やドラマのなかには、戦争を賛美とまではいかなくても、「愛する人のために死ぬのはすばらしい」みたいな描きかたのものも多くて、観ていて違和感を感じることも多いです。反戦映画としての、戦争を描いた映画って、難しいようですね。 (2006年12月28日 21時27分46秒)

Re:年末年始に観たいな・・・。(12/28)   KUMA0504 さん
N.カナエさん
イーストウッドの映画はそうはなっていない(家族のために死ぬのを描いていないわけではない)ところが、凄いと思います。 (2006年12月29日 00時55分24秒)

こんにちは♪   ミチ さん
こちらからのTBが不調でいつもご迷惑をかけています。
役者イーストウッドにはあまり惹かれなかったのですが、監督としては俄然魅力が出てきたように思います。 (2006年12月29日 16時12分22秒)

Re:「硫黄島からの手紙」名監督からの作品(12/28)   在日 さん
今年ももう終わります。なかなか良いものを読ませていただき、ありがとうございました。
私が忘れられない映画は、五味川純平の「人間の条件」です。小学校のころ両親に連れられて見に行きました。
あまり、意味は分からなかったのですが、オドロオドロしい画面の印象をいまも忘れません。両親はよくもこんな映画を子供に見せたものだと考えています。
その映画の中で、朝鮮人の従軍慰安婦が、おにぎりを作って最前線の兵隊に「兵隊さん、兵隊さんおにぎり作てきたよ」と言いながら、必死に配って廻るのを見て涙が流れました。いつも犠牲になるのは被害者同士(日本の兵隊と慰安婦の女)で、女は男より死んでいく兵隊達も被害者だと、そのことを鋭く察知しています。
被害者が加害者となり、加害者が被害者となり、最後は被害者と加害者が渾然となる様は、人間の悲しい性(サガ)でしょうか。
本も読みました。少し、昔のインテリの言い訳っぽい感じもしましたが、戦場での臨場感がありました。
戦争とは何か?
年末に古い友達達と飲みましたが、いまの政治情勢にはみんな危機感を持っていました。
来年は、安心と平和の時代への幕開けとしたいものですが、少し、悲観的です。
良い年をお迎えください。 (2006年12月29日 16時55分56秒)

こんばんは   ノラネコ さん
イーストウッドの映画からはわびさびを感じます。
この映画の日本人達がリアルなのは、やはり彼が徹底的に個に拘っているからでしょうね。
映画史に残る、見事な二部作でした。
ちなみに私はイーストウッド作品では、良い意味でB級色漂う「ぺイルライダー」が好きだったりします。
http://noraneko22.blog29.fc2.com/ (2006年12月29日 19時21分01秒)

Re:こんにちは♪(12/28)   KUMA0504 さん
ミチさん
>こちらからのTBが不調でいつもご迷惑をかけています。
>役者イーストウッドにはあまり惹かれなかったのですが、監督としては俄然魅力が出てきたように思います。
-----
こちらこそ、TBが送れなくて申し訳ない。
これから順次監督作品についてみていこうかな、と思っています。「マディソン郡の橋」は映画館で見て80%寝た記憶があるから見たくはないのだけど。 (2006年12月30日 02時43分39秒)

Re[1]:「硫黄島からの手紙」名監督からの作品(12/28)   KUMA0504 さん
在日さん
こちらこそ、いろいろと真摯なコメントありがとうございました。
「人間の条件」は映画は見たことないし、小説のほうは一巻目であまりもの注の多さに挫折した経験があります。(^_^;)戦争映画としては、やはり見ておくべき作品かもしれませんね。
よいお年を! (2006年12月30日 02時47分14秒)

Re:こんばんは(12/28)   KUMA0504 さん
ノラネコさん
>イーストウッドの映画からはわびさびを感じます。
>この映画の日本人達がリアルなのは、やはり彼が徹底的に個に拘っているからでしょうね。
>映画史に残る、見事な二部作でした。
>ちなみに私はイーストウッド作品では、良い意味でB級色漂う「ぺイルライダー」が好きだったりします。
>http://noraneko22.blog29.fc2.com/
-----
コメントありがとうございました。
「ペイルライダー」見てみます♪ (2006年12月30日 02時48分37秒)

TB、ありがとう!   亀さん さん
KUMA0504さん、初めまして、亀さんです。
「散るぞ悲しき」を読むと、映画&栗原中将は若干物足らなさもあり、彼を取り巻く人のほうがイキイキ描けていたが、全体としてはいい映画だと思いました。KUMA0504さんが言われるように、どうして、日本の映画界はこんな映画を作れないのでしょうか?
なお、亀さんのブログは、団塊世代の還暦オトコ3人の共同執筆です。テーマが一定しないところもありますが、結構頑張っていますので、時々覗いてみてください。 (2007年01月28日 00時03分43秒)

Re:TB、ありがとう!(12/28)   KUMA0504 さん
亀さんさん
コメントありがとうございました。
三人でまわしながら書いて句なんて面白い試みですね。ブログは毎日更新のほうがよくアクセスがあるから、そのほうがいいのかも。
ちょっと違いますが、今月始め、連歌の試みをしました。そういう形でまわしながら作ることもできます。 (2007年01月28日 21時26分50秒)

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