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再出発日記

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2007年03月04日
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カテゴリ:考古学
春闘決起集会で岡山後楽園東側の総合福祉会館から岡山駅前まで、長くないデモ行進を終えたあと、午後から県立図書館にこもった。本当ならもうすっかり春のぽかぽか天気の日曜日、街中散策などしたいところなのだが、借りていた本を返さなくてはいけなかったのだ。一回貸し出し延長をかけているものだから、かれこれ一ヶ月近く借りたままだ。すこぶる大著で、値段も高い。(7800円)今日読み通してしまわなかったら、今度いつ読めるかわからない。こんな本である。

「発掘50年」河出書房新社 近藤義郎著

買うなんて到底出来ないけど、岡山で遺跡を好きな人ならたまらなく面白くて、手元に置いておきたい本だと思う。氏が岡山で暮らしてきた50年の間にかかわってきた約80の古墳、遺跡の発掘経過を書いている。氏の経験が、そのまま吉備の国の戦後発掘史になり、またそれが、原始集落、土器製塩遺跡、弥生墳丘墓、たたら遺跡、前方後円墳の成立、古墳への発展へと、最先端考古学の概説にもなっている。そのような知的な興奮があるということがひとつ。

もうひとつの魅力は読み物として優れているということ。月の輪古墳で住民一体となって発掘をしたということは昨日の記事で述べた。それは記録映画にもなり、賞も取ったらしいので、一度何とかしてビデオを探して見てあと1~2回記事にしたいと思っているが、その発掘の中心になったのが、若き日の近藤義郎岡山大学助手なのであった。氏の発掘は月の輪だけにとどまらない、本を読んでいくと程度の差こそあれ、ほとんどの発掘は住民や地域の学校の生徒を巻き込んでやっているということがわかる。感心するのは、一度きりに発掘に参加した女子学生を含めて、出来うる限りこの本の中で発掘参加者の名前を記入しているということである。その中には、今では考古学会の大家となった学者(春成秀爾、田中琢、都出比呂志、高橋護、藤田憲司等々)もいれば、岡山県下で気鋭の考古学者として活躍している人たち、あるいは私が吉備遺跡見学会でいつもお世話になっている出宮氏の若き日の名前も載っている。あるいは、高校生のときから発掘に参加し、大学生、社会人としだいと成長しながら発掘一筋に生きてきたような方の名前もサイドストーリーとして読み込むことが出来るような仕組みになっている。あるいは、考古関係者ではない、私の知人の名前もいくつも発見したりした。そんなのを見ると本当に「民衆とともに」(今様の言葉で言うと、「市民と一体になって」)発掘をし、それが古代の解明に大きな寄与をしてきたというのがこの本を読んでよく分かるのである。

氏の業績を素人である私が紹介するのは危険なのだが、あえて言うと、日本列島製塩遺跡の解明、特殊器台の解明、埴輪の誕生の秘密、前方後円墳誕生の解明、大和の祭祀は吉備が起源であり、吉備の勢力が「東進」して始まったということ等である。

一片の土を運ぶことがそういうことの解明につながったのだということがわかるすこぶる面白い本であった。古代に関心ある人にはお勧めです。





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最終更新日  2007年03月05日 13時32分34秒
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