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2007年10月07日
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この本は小林英夫氏による日中戦争における日本と中国の戦略比較、ひいては現代の日本の問題点を浮き彫りにした労作である。

1937年盧溝橋事件で、大日本帝国が中国と本格的な戦争に突入したとき、国民政府の蒋介石はあわてず騒がず、ソ連留学中の息子に「わしが必ず倭寇を制するから」と余裕の言葉を手紙で送ったという。実際、蒋介石の日本分析は見事であった。1938年「抗日戦の検討と必勝の要諦」という文章の中で、蒋介石はこのように日本と中国の長所短所を分析している。
▼日本側の長所
 小ざかしいことをしない
 研究心をたやさない
 命令を徹底的に実施する
 連絡を密にした共同作業が得意である
 忍耐強い
▼日本側の短所
 国際情勢に疎い
 持久戦で経済破綻を生じる
 なぜ中国と闘わなくてはならないかが理解できない
▼中国側の長所
 国土が広く人口が巨大である
 国際情勢に強い
 持久戦で闘う条件を持っている
▼中国側の短所
 研究不足
 攻撃精神の欠如
 共同作業の稚拙
 軍民のつながりの欠如
そしてさらに「日本軍の長所は兵士や下士官クラスにおいて発揮されやすいものであり、彼らはよく訓練されていて、優秀だが、士官以上の将校レベルになると、逆に視野の狭さや国際情勢の疎さといった短所が目立って稚拙な作戦を立案しがちであることを喝破していた。」
「一方で中国は対照的に指揮官レベルの人間は国際経験も豊かで視野も広いが、平野下士官は資質が低く、訓練が行き届いていないことを承知していた。」


思い至るところがあまりにも多すぎてこの蒋介石の分析にはあきれた。よって日本の短期集中型の殲滅戦略は中国の持久型の戦略に敗れることになる。
「敵を知り己を知らば百戦危うべからず」ですね。

さらに小林氏は日中戦争を「ハードパワーとソフトパワーの相克」という視点で捉えなおす。

「戦争におけるハードパワーとは、軍事力や産業力の事をさす。一方ソフトパワーとは、直接の武力によらない政治、経済、外交のほか、メディアによる宣伝力、国際世論の支持を集めうねるような文化的魅力など、広範な力が含まれる。」
「そしてここまで見てきた日中戦争とは、ハードパワーに物を言わせて戦線を拡大してきた日本が、その力を過信してさまざまなルール違反を犯し、その結果、さまざまな反動が起きて破綻するまでの過程でもっあった。」
「ここで重要なのは、そうした野蛮あるいは卑劣な行為を行うことは、短期の殲滅戦においてはさほど勝敗に影響を及ぼすことはないかもしれないが、長期の消耗戦になった場合は、確実に自殺行為となるということである。すぐに目に見えなくても、そうした行為が世界に喧伝されて国際社会から反感を買うことのダメージは計り知れないほどおおきい。」


この文章を読んだとき、まさに憲法九条を活かす道というのはソフトパワーの道であり、現在のアメリカあるいはそれに追随する日本という国は、つくづくハードパワーの道を行っていると思ったものである。

翻り現代、新たな日本の参謀たち(霞ヶ関の官僚や経団連)はそのような過去の失敗を学んでいるといえるだろうか。いや、彼らは、少しも学ぼうとせずに、新たなハードパワーの道を突き進もうとしている。

たとえば、自動車産業。
自動車産業は、現在日本企業は、世界の生産の約1/3(二千万台)を担うに至っている。なぜ日本車は人気があるのだろうか。燃費がよくて、環境にやさしく、よい車を安く作る基盤が整備されているからである。つまり強いハードパワーを持っているからだ。
「しかし、日本の産業基盤は強靭なのか、といえば決してそうではない。いま戦後の企業経営の問題点を挙げれば、まず中期はともかく長期的見通しを持ちにくい。よいものを作れば必ず売れるという信念にも似た思い込みから海外市場のニーズの検討が弱く、その嗜好を反映していないため、機能はともかく、デザインや好感度で実力相応の評価が得られにくい。また日本の伝統文化と産業力の結合がうまくいっておらず、ブランドがすでに確立した欧米ではともかく、これから日本製品のシェアの拡大せねばならないBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)市場でのブランド確立に必ずしも成功していない。」「産業を支援すべき外交力でも、近年の経済外交の立ち遅れは目を覆うばかりである。2007年4月韓米FTA(自由貿易協定)を締結し、さらにEUとのFTA交渉を急速に進め、東アジアの物流、交易、投資のハブ足らんとする韓国の積極的な経済外交と比較すると、日本の経済外交の低迷を否定しようがない。」
(日本は)「速戦即決、すぐに効果が目に見えることばかりを重視する殲滅戦略的な考え方から、いまだ脱却できていないのではないだろうか。」


日本の参謀をそっくり入れ替えてほしい。小国民としては、切に願うところである。






最終更新日  2007年10月07日 20時00分41秒
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