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カテゴリ:07読書(フィクション)
「猟犬探偵」稲見一良 光文社文庫 前作「セントメリーのリボン」から登場した猟犬探偵、竜門卓シリーズのみを扱った四編の短篇が収められている。 犬が好きな人にとっては、たまらない短編集なのだろうと思う。と、同時にハードボイルド好きにとっても唸る短編集。 つまり「高い矜持と職業的使命感の持ち主で、強者に対してはどこまでも強く、弱者に対しては底抜けにやさしくなれる。また他人の親切に対しては、最大限の誠意を持って報いる」(解説者郷原宏の言)男の物語である。 この連作は一編一編独立をしてはいるが、一方では前作の登場人物が思い出したように出てきたりするので、基本的には「セントメリー」→「猟犬探偵」と読むのがよろしかろうと思う。 本作で一番好きな一編は最後の「悪役と鳩」。おそらく遺作に最も近い時期に書かれたであろうに、中年男の初恋のような初々しさがある。 この一編は無骨な男がブランコをこぎながら歌うこんな歌詞で締めくくられる。 いのち短し恋せよ乙女 朱き唇あせぬ間に 熱き血潮の冷めぬ間に 明日の月日はないものを‥‥‥ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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