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再出発日記

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2007年11月20日
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テーマ:韓国!(16886)
日曜日に観た「春香伝(チュニャンジョン)」は非常に興味深かった。輝国山人のところに詳しい紹介があるが、そこによると、いままで14回映画化されたようだ。その他現代風にアレンジされたテレビドラマもあるそうだから、韓国民衆にとっては、日本の「忠臣蔵」のごとくの人気である。またそれだけ民衆に影響力のある作品でもある。

「忠臣蔵」から語るべきことは多々あるように、この「春香伝」からも語るべきことは多いように思う。この物語は思ったほど単純ではない。日本の既存の物語と比較すると、それがいっそうはっきりするだろう。たとえば、講談ものとしての「水戸黄門」、あるいは恋愛ものとしての「曽根崎心中」と比べてみようと思う。

クライマックスではほとんど「水戸黄門」になる。こじきの格好をしていた李夢龍が、部下を従え、悪徳長官の前に現れる。「この印籠が目に見えぬか」とばかりに「密使」の印を目の前に見せる。次の場面は白州の場面だ。改革はあくまで「上からの改革」として行われる。そこまでは日本と同じ。しかし、違うのは、このときクビを言い渡されたのは、下級官吏だけなのである。この不思議を今日のハングル講座のときに先生に聞いてみた。
先生は答える。
「下級官吏は、長官が民のための政治をしなかったことをいさめなかった罪でクビになったのでしょう。一方長官はその場ではクビにはならなかったけど、やがてはなると思います。なぜならば、最後は白装束だったでしょう。」
私はさらに疑問をぶつける。
「けれども長官は李夢龍に理屈をぶつけますよね。春香は二君に仕えないがごとく二夫に仕えない、と言ったが、長官の言うことに従わなかったと言うことだけで死罪に値するのではないか、と。それに対して夢龍はなんと答えたのでしたっけ。」
「確か、(当時の身分制度のうえでは長官のいうとおりだと認めたうえで)無理やりにしたのは、人間として間違っている。といったと思う。」
「それはつまり、春香を罰するのは、法の上では正しいが、情の上では間違っていると言うことなのですか。」
「そうだ、と思う。ただし、長官の罪は春香に悪いことをしたからではなく、財をむさぼり、淫に溺れたからだ。春香のことはその中の小さなエピソードに過ぎない」
古典としての「春香伝」は、明確な李朝時代の身分制度と、厳格な法体系の中での物語だからこそ、民衆に対しては大きな意味があったのかもしれない。

日本では、法と身分に縛られた中で、道ゆかぬ恋はどうなったか。「曽根崎心中」では、町人通しの不倫でさえ、「心中」と言う形をとった。一方同じ19世紀に成立した「春香伝」では身分制度に穴を開ける。しかしハングルの先生の言うには、これは例外に過ぎない、という。ほかの古典の中ではドローに終わった例もあると言う。

「春香伝」がいまだに韓国国民の中で人気があるのは、おそらくいまだに韓国国内の中で、厳しい「身分格差」があり、それを超えることがひとつの「夢」になっているからなのかもしれない。

一方で主体的に社会を変えることのできない日本の物語しかもっていない日本国民は幸いなのか不幸なのか。私はたださびしい。








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最終更新日  2007年11月21日 01時21分20秒
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