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カテゴリ:邦画(07)
「それと‥‥‥俺たちは軍隊ではない、自衛隊だ。」
監督 : 成島出 原作 : 高嶋哲夫 脚本 : 長谷川康夫 、 飯田健三郎 出演 : 大沢たかお 、 竹内結子 、 玉木宏 、 吉田栄作 、 袴田吉彦 、 大森南朋 、 石黒賢 、 藤竜也 日本アルプスに米軍のステルス爆撃機(ミッドナイト・イーグル)が墜落した。その積荷にはとんでもないものが‥‥‥。日本政府は「ふってわいた危機」に、国民が知らないようにひそかに、吹雪のアルプス山中においてテロを企てた「某国」工作員たちと闘うのであるが‥‥‥。それに、元戦場カメラマン役の大沢たかおや、雑誌記者の竹内結子 、 玉木宏が絡んでくる。と言うような話。 竹内結子は複雑な表情が出来るようになった。あとはいい映画に出会うだけだね。自衛官役の吉田栄作も渋い演技をする。 (以下重要なネタバレに繋がる話あり) その吉田栄作が自分の誇りをかけて言う言葉が冒頭の一言。確かに、彼が果たしたのは専守防衛の仕事ではある。と、いうような設定になっている。そういう「政治的」なことに気を使いすぎる脚本なので、結果的に荒唐無稽な話になった。 たくさんの突っ込みどころはあるのだが、一番気になった点をひとつだけあげる。 それは、この話の発端は米軍が日常的にレーダーに映らないステルスに核兵器を搭載して某国(北朝鮮であるのは明らかであるが、ついに一言もセリフに入らず)上空を行ったりきたりしているのを「逆恨み」して、某国工作員が横田基地のステルスに爆薬を仕掛け墜落させて、日本に核爆発を起こさせようとした話である。日本の首相はそういうステルスの事情を全く知らなかったらしい。 おいおい、某国はもしテロが成功しても、それは日本に対して戦争を仕掛ける、と言うことなんですよ。子供のけんかじゃないんだから、どうしてそんな無責任なことが某国が出来る、と発想するのだろう。しかも一個中隊の本格武装集団がやすやすと日本に入り込めるという設定はいかがなものか。首相は一人悩む姿を演じて見せたり、独りで責任をとると言うようなせりふを言わせたりして見せたり、「泣き」を強調しているが、作品としては、最も責任のあるアメリカに対する批判的な視点がまったくない。 これではこの話はいったい何を言いたいのか、全く分らない。 この作品、日米同時公開らしい。アメリカの国民の失笑が目に見えるようだ。米国政府は充分に知っていただろうが、日本というのはこれほどまでに御しやすい国なのか、と宣伝にいっているようなものだ。みっともない。 昨日の記事にも書いたが、「アメリカの先制攻撃戦略に沿った日米軍事一体化計画の具体的な姿」をこの事件を発端にして浮かび上がらせる作品だったら、作品としても成功しただろうし、アメリカ国民にもかえって好印象をもたれるのではないか。 このような国際的大事件を浪花節で終わらす邦画の伝統はもうそろそろ止めにして欲しいものだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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