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再出発日記

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2007年12月14日
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「ゲバラ日記」(角川文庫)はなかなか前に進めなかった。有名な本なので、これを読めば晩年のゲバラの思想は分るのかと思っていた。しかし、書いているのは延々とボリビアのジャングルをゲリラとして進むゲバラたちの日常なのだ。巻末の高橋正による「ゲバラ小伝」によって、ヤットこの日記の位置が分ってくる。

チェ・ゲバラ。1928年、アルゼンチンの中産階級の家庭に生まれる。医師を志すが、南米諸国を旅するなかで革命の必要性を痛感。メキシコで出会ったカストロとともにキューバ革命を牽引し、成功に導く。その後、ラテン・アメリカ全体の革命のためにキューバを去り、ボリビアでの活動を続けたが、1967年10月9日、政府軍に捕らえられて殺害される。

この本は、1966年11月から67年にかけてほぼ一年間毎日つけたゲバラの日記の全文である。タダひたすらジャングルを進む。時に戦闘がある。どうやら、そのようなゲリラ活動を進める中で、ボリビア住民の支持を勝ち取り、都市部ではなく、地方から革命勢力を育てようとしたらしい。けれども、ボリビアの革命勢力との齟齬、仲間の脱落、或いは戦死、ジャングルでの過酷な活動による病気、飢え、裏切り等により、ついにボリビア軍隊によりゲバラを捕らえられたらしい。日記は政府軍の陽動作戦を疑う記述、「標高2000メートル。」と10月7日に書いて終わる。このゲリラの活動方針が正しかったのかどうかは私には判断できない。いや、間違っていたとしても、キューバでの大臣の地位をかなぐり捨て、あくまでも初心のラテンアメリカ全体の革命のために身を投げたチェのことを悪く言う人間はほとんどいないようだ。

月末に必ず行動の「月間分析」を書いている。時々父親や娘の誕生日の一言のみが書かれている。ジャングルでの活動は本当に苦しかったようだ。ゲバラ自身も喘息でくるんでいたが、隊員たちもさまざまな病気を患った。飢えでついに子馬を潰したりした。

ゲバラの死後、南米は約30年間、富むものはますます富み、貧しきものはますます貧しくなった。そしてやっと最近になって、ラテンアメリカのアメリカからの独立が現実的なものになってきた。反米政権が次々と実現し、ボリビアさえも、06年に親キューバの左派モラリス政権が誕生する。大統領が、日本の憲法を真似て戦争放棄を盛り込もうとしているということは既に述べた。

最近、ラテンアメリカの輝ける星チャベス大統領の初の黒星の報道があった。、
チャベス改憲案、小差で否決 「終身大統領」阻まれ打撃
この報道を読んで、ラテンアメリカの革命は着実に進んでいるという印象を受けた。この報道では、まるで今回の改憲案の中心は「終身大統領制」にあるかのような書き方であるが、本質は違う。と思う。改憲案の中心的課題は、国の制度を「社会主義国にする」と言うことだった。それはまだ時期早々である、と国民がきちんと意思を表明できたのである。民主主義の着実な進歩だろう。それに終身大統領制を目指したのではない。多選を認めようとしただけで、チャベスが大統領に不適だとすれば落選させればすむことなのである。

映画「モーターサイクルダイアリーズ」で若きチェ・ゲバラはハンセン病患者の前で宣言する。「はっきりしない見せかけの国籍によってアメリカ(ラテンアメリカ諸国)が分けられているのは、全くうわべだけのことだと、この旅のあとでは前よりももっとはっきりと、考えています。」ラテンアメリカの統一を夢見、その没後40年たった今年、中南米はその夢に向かって確実に進んでいる。





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最終更新日  2007年12月15日 01時05分46秒
コメント(11) | コメントを書く


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Re:中南米の到達点あるいは「ゲバラ日記」(12/14)   かつ7416 さん
ボリビアという国名は、ラテンアメリカの統一を目指しながら挫折したシモン・ボリバルから名前を取っていますね。
むろん、ゲバラがそこを活動場所に選んだのはそういう理由ではないでしょうが、「はっきりしない見せかけの国籍によってアメリカ(ラテンアメリカ諸国)が分けられているのは、全くうわべだけのことだ」という言葉から、そのことを想起しました。 (2007年12月15日 01時29分11秒)

Re:中南米の到達点あるいは「ゲバラ日記」(12/14)   ももたろうサブライ さん
ベネズエラの選挙については指摘の通りです。
ただ今後、チャベス大統領が「社会主義建設の大義」のために民主主義を踏みにじることのないように願いたいですね。「社会主義」(カッコつき)の歴史的蹉跌の最大要因はそこにあるのですから。 (2007年12月15日 08時16分39秒)

Re[1]:中南米の到達点あるいは「ゲバラ日記」(12/14)   KUMA0504 さん
かつ7416さん
>ボリビアという国名は、ラテンアメリカの統一を目指しながら挫折したシモン・ボリバルから名前を取っていますね。

それは全く知りませんでした。教えていただいてありがとうございます。「あとひとつふたつベトナムを」といって、ゲリラによる南米諸国の独裁政権からの独立を支援しようとしたゲバラの脳裏にその事実が関係しなかったとは決していえないと思います。実現したときには、大きな宣伝効果になりますものね。もちろん地勢的な条件、政治的な時要件はあったと思います。

(2007年12月15日 12時50分46秒)

Re[1]:中南米の到達点あるいは「ゲバラ日記」(12/14)   KUMA0504 さん
ももたろうサブライさん
チャベス大統領の演説集と言う本を(高いのですが)かって少し読みました。今挫折中です。なぜなら、いわゆる理論的な国の分析、革命のパイオニアに不可欠の哲学的な言辞、文学的な魅力がほとんどないからです。つまり、レーニンとか毛沢東とかには決してなれない人なのです。だから今回の改憲案には多少の危惧はありました。独裁政権に転化する可能性はあったわけです。けれども、今回の経験が平和裡に終わったことで、チャベスの意思に反し、ベネズエラはひとつの階段を登ったのかもしれません。一番いいのは、チャベスがパイオニアとしての伝説に身を引き、理論的にも政治的にも優秀な第二世代へスムーズに移行できることだとは思うのですが‥‥‥。南米の「現実」をよく知らない私にそれ以上のことは言えません。 (2007年12月15日 12時59分06秒)

Re[2]:中南米の到達点あるいは「ゲバラ日記」(12/14)   クラシカ さん
ゲバラについては、余り知識が無かったのですが、映画をみて「その後」へつながる必然性のようなものがよく描かれていました。映画もですし、きっと本人自身が、論理的にかつ真摯に、自分の体験を「今の自分」へとつなげるべく構築していたのでしょうね。
南米はずっとUSAの干渉と支配を受けていて、主に軍事独裁政権が「自由の国USA」に支えられている、、という図式が長く続き、それに対して「反米政権」の攻防、、という形であえいでいたのが、少しずつ変わりだしたのは、ニカラグアが大変な妨害にもかかわらずオルテガ政権になり、その後、民主的選挙によりオルテガが落選して、またさらにそのあと復権したり、、というような営みができたころからでしょうか。ほんの最近ですよね。ついこないだまで、チリにはピノチェトがいて、アルゼンチンも軍政だったのですから。
ホーチミンもカストロもどちらかといえば、もともとは「アメリカ型民主主義」の熱心な支持者であったこと、、は、「戦後」のアメリカの日本からは見えにくい「偏り」「本質」を映す「鏡」である気もします。

しかし、南米連邦(合衆国・合州国)、、、ボリバールの理想を、ゲバラがほぼ同じ(明確に共産主義であったことは異なりますが)思いを抱いていたこと、そしてその「必然性」も、映画「モーターサイクルダイアリーズ」はよく描いていました。言葉が通じるのですからね、普通。
その共通性に「希望」と「可能性」が、、そして、その相互の相違にゲバラが陥った陥穽があったのかもしれません。
南米の南米らしい、のびやかな繁栄、、(ブラジルは既に経済超大国ですが)、楽しみな時代、、と楽天的に言える時代になってきたのかもしれません。「いろいろある」といえる時代に。 (2007年12月15日 13時19分53秒)

あはは   ポンボ さん
たぶんこの本です。私が高校の時に高校の図書館で借りた単行本。
すごく苦労した覚えがあります。
週刊の人物シリーズで昨年?か一昨年出て、その号だけ買いました。写真や年表があって、わかりやすかったです。
「チェ・ゲバラの遙かな旅」(戸井十月 集英社文庫)も読みやすいです。 (2007年12月15日 14時38分14秒)

Re[3]:中南米の到達点あるいは「ゲバラ日記」(12/14)   KUMA0504 さん
クラシカさん
詳しい解説ありがとうございます。
南米はほぼ言葉が同じだということは大きい、と思います。

>楽しみな時代、、と楽天的に言える時代になってきたのかもしれません。「いろいろある」といえる時代に。

本当に。北方謙三ではないですが、小説の材料が山ほどありそうです。
(2007年12月16日 01時33分53秒)

Re:あはは(12/14)   KUMA0504 さん
ポンボさん

>「チェ・ゲバラの遙かな旅」(戸井十月 集英社文庫)も読みやすいです。
-----
読書候補に入れておきます。ありがとうございます。
(2007年12月16日 01時34分56秒)

Re:中南米の到達点あるいは「ゲバラ日記」(12/14)   ミント畑 さん
はじめまして、ミント畑と申します。このページを見てちょっとびっくりしました。
 というのは、私の身の回りを考えると、ゲバラが好きなんてカミングアウトしたら、かなりヤバいことになるのは確実だからです。
 じつは、ネット上ならば、こういう意見をお持ちの方も結構いらっしゃるんですね。
 私は恥ずかしながら、ゲバラ著の本はモーターサイクルダイアリーズしか読んだことがありませんが、旅行記として非常に面白かったです。
 
 
 
  (2008年11月05日 06時07分33秒)

ゲバラの事は好きなんです。   ミント畑 さん
 自分で書いたコメントを読み返したら、一歩引いて書いた感じだったので・・・
 ラテンアメリカの歴史、社会には興味があります。
 メキシコから世界が見える、なんて本もありましたが(面白かったです)、ラテンアメリカは、元々他文明から隔絶した先住民社会が、征服され、改宗させられ、現在はアメリカの影響下にあるという、かなり極端と云うか典型的と云うか・・・まさに世界の縮図みたいに思えるからです。
 
  (2008年11月05日 07時01分25秒)

Re:ゲバラの事は好きなんです。(12/14)   KUMA0504 さん
ミント畑さん
> 自分で書いたコメントを読み返したら、一歩引いて書いた感じだったので・・・
> ラテンアメリカの歴史、社会には興味があります。
> メキシコから世界が見える、なんて本もありましたが(面白かったです)、ラテンアメリカは、元々他文明から隔絶した先住民社会が、征服され、改宗させられ、現在はアメリカの影響下にあるという、かなり極端と云うか典型的と云うか・・・まさに世界の縮図みたいに思えるからです。
> 
> 
-----
コメントありがとうございました。
そうそう、ブログのいいところは、同好の志がすぐに見つかるところです。TBを送ったり、コメントしたり、そうやって繋がることができます。私も映画だけでなく、本の「モーターサイクルダイアリーズ」読みました。日記ですから、書いた人の人柄が直に出ますよね。決して戦争が好きなのではない。本気で、貧しいものの開放を夢見ていたのだと思います。「チェ・ゲバラの遙かな旅」(戸井十月 集英社文庫)を最近読みました。近々感想を書こうと思っています。またおいでください。
(2008年11月05日 22時28分48秒)

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