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2008年06月07日
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カテゴリ:邦画(08)
「総括を求める」「異議なし!」
監督・製作 : 若松孝二
音楽 : ジム・オルーク
ナレーション : 原田芳雄
キャスト
遠山美枝子 坂井真紀    重信房子 伴杏里

森恒夫 地曵豪    坂東國男  大西信満
植垣康博 中泉英雄   青砥幹夫  伊達建士
山崎順  椋田涼    行方正時  川淳平

坂口弘 ARATA   永田洋子  並木愛枝
吉野雅邦 菟田高城   寺岡恒一  佐生有語
大槻節子 藤井由紀   金子みちよ  安部魔凛碧
小嶋和子 宮原真琴    前沢虎義 辻本一樹
加藤能敬 高野八誠   加藤倫教  小木戸利光
加藤元久 タモト清嵐  あさま山荘管理人 奥貫薫

本当はもっとたくさんの登場人物がいるのだが、紙面の関係で省略。
左側が実名。右が役者名である。最初「ほとんど事実をもとに作られている」という意味のキャンプションが入る。じっさいこのあと、生存者の手記もいくつか読んだが、相当事実をもとに作られているようだ。

若松孝二監督は、かつて連合赤軍の近い所にいたらしい。そして現在も少なくとも心情的には、彼らの主張に寄り添っているのだろう。だからこそ、ひたすら権力側の視点から撮られた「突入せよ! あさま山荘事件 (2002) 」には嫌悪感を抱いたのだろうし、前史も後史も省略した「光の雨 (2001) 」にはNOを示したのだろう。ひたすら事実に立脚し、よくわからないところは想像力で補い、赤軍メンバーたちのありのままをさらけ出すように、描ききろうとしたのだろう。それは植垣康博(元・連合赤軍兵士)が「実際に起こった事実を映画化するとき、なによりもそれを歴史的に描くことだろう。実際、「連合赤軍」をそれ自体として、歴史的背景を抜きにして描くことほど馬鹿げたことはない。それでは、連合赤軍がなぜ誕生し、どうして自滅としかいいようのない結果に至ったのかを考える糸口さえつかめない。
その点で、若松さんの『実録・連合赤軍』は、歴史的な流れをていねいに追求している。ともすれば、「仲間殺し」だけが強調される連赤が、けっしてそれを目的にしていたわけではないことを、全体の流れの中から明らかにしようとしていること、しかも敢えて実名を出すことによって、それぞれの人物がどのように振る舞い、生きようとしたかを描こうとしていることが最大の特徴ではないかと思う。これは、赤軍派、特にその後の日本赤軍と関わりを持っていた若松さんだからこそ出来たことだろう」公式HPより
とコメントしていることでもうかがい知ることができる。

しかし、監督の意図はどうであれ、あの時代に思い入れのある人の感想はどうであれ、作品の中で圧倒的な迫力をもつのは、あさま山荘事件に至る直前の約四ヶ月の軍事合宿における「総括」→「自己批判」→リンチ殺人の「仲間殺し」に至る過程なのである。

この作品は結果的に、見事に連合赤軍の「墓標」になっている。

浅間山荘にたてこもっていた時、あさま山荘管理人(奥貫薫)が「せめて私が元気なことを外の人たちに知らせたい」という。坂口弘( ARATA)は「奥さんが元気なことはすでに権力側は承知しています。それでもあのようにご家族の声で呼びかけるのは、私たちに聞かせたいからではなく、権力側のプロパガンダなのです。彼らが消したいと思っているのは、"革命"であり、私たちの主張なのです。だから奥さんの姿声を外に出すわけにはいきません。」と紳士的に言うのである。その限りでは、坂口の情勢認識は正確だったといえると思う。しかし、本質的に言えば、その場さえしのげばプロパガンダは凌げると思った坂口の認識はあまりにも甘かった。私は彼らたちに声を大にして言いたい。結果において、坂口たちや、ひいては永田洋子や森がしたことは、日本のあらゆる「運動」に決定的なマイナスイメージを与えたことを、今死刑判決を受けて服役している坂口や永田に、本来的な意味で徹底的に「総括」して欲しい。(もちろん彼らが全然していないということではない)

その深刻なマイナスイメージとは例えばこのように植え付けられた。1972年2月28日。今から考えると、どうして日本全国ほとんどの小学校がこんなことを許したのか、仕掛け人はだれなのか、不思議でならないのだが、小学6年の私は、先生の「取り計らい」で浅間山荘事件の顛末を生放送で、学校のテレビで見ていた。つくづくこの事件の影響は甚大だった。その後の仲間殺しが明らかになることも影響し、子供の心に逆らえぬある観念が植え付けられた。「連合赤軍=共産主義者はこわい。」「学生運動にはかかわらないほうがいい」その観念はその後20~30年は生き続け、大学生になると「しらけ世代」の思想的背景となる。「超人類」とか「バブルで浮かれる若者」という姿にも変わっていき、バブル崩壊でそれどころではなくなるまで続いたと思う。

私が79年に大学に入ったころ、「ブント」や「中核派」は細々と生き残っていた。そしてその頃、学費値上げ反対闘争や生協設立運動も起こっていのだが、九割がたの学生は「しらけ」て逃げて行った。それを知ってか知らずか、相変わらずの「学生運動家たち」は難しい単語を並べ、「自主管理自主運営貫徹」とか、あるジェンダー「差別発言事件」では「総括文章」を求める集会が何度も持たれたりしたのである。(詳細は省略)彼らに確かに連合赤軍事件の責任はなかったかもしれないが、彼らはあの事件の教訓を結局一つも汲んでいなかった。同じころ、海を隔てた韓国では、民主化闘争が闘われ、その8年後には選挙による平和的な独裁政権の打倒を実現した。私の大学でも、自主的なハングル講座は企画されていたのだが、みんな「北」に行くための講座であった。日本の学生運動の病理は深い。それを全面的に明らかにするつもりなど毛頭ない。ただ、この事件の影響は甚大であったということだけを強調したい。

彼らは一体どこで「誤った」のか。
純粋に映画を見て、思ったことがある。

1969-1972連合赤軍と「二十歳の原点」というサイトに坂口弘の「謝罪と闘争宣言」という文章が紹介されている。そこで坂口は「誤り」の原因をいろいろとつらつらと述べている。私は違和感を持った。あれは政策路線上の誤りだったのだろうか。 

映画を見て、「総括」の過程で死人が出た後は、一線を越えてしまい、違う世界に行った感があるが、そこに至るまでは、私は既視感のある風景を見ていた。
「総括しろ!」「自己批判しろ!」「それでも総括といえるのか!」「分かっていないねえ」「何をどうして総括したらいいかわからないだと!それは自分で考えろ!」「異議なし!」
これは今現在も日本のあらゆる組織で行われているパワハラ、あるいはいじめの景色と非常に似通ってはいないか。

最初は些細なことから始まる。軍事演習に水筒を持ってこなかった永田洋子(並木愛枝)たちのグループに「総括」が求められたのだ。永田は屈辱を感じながら、みんなの前で「総括」の表明(のみ)をする。そして次は永田がもう一つのグループに「指摘」する。遠山美枝子(坂井真紀)の長い髪や化粧や指輪は軍事演習をする態度ではない、共産主義者ではないと言う。もう一つのグループ長である森恒夫(地曵豪)は遠山の総括を約束する。このようにして徹底的な「総括」の連鎖が始まる。中間管理職の「成果のみしか見えていない」言動が、集団の非常に追い詰められている状況の中で、一つの閉じられた空間の中で、さらに追い詰めるのである。まじめな部下は、上司が悪いのだと決して口に出しては言えない。閉じられた空間の中では、本気で「自分が悪いのだ」と思ってしまうし、周りもそう思う。

このような過程で、潰れていく、精神を壊したり、会社を辞めていく人たちを私は何人も見てきた。

映画の彼らは追い詰められて秘密裏に軍事演習をしていたので、外に助けを求めていくすべはなかった。それでも最後には何人もの脱走者が出る。すでに10数人の仲間の死に加担した後ではあるが。

事実彼は叫んだらしいが、最後のほうで当時高校生だった加藤元久(タモト清嵐)の叫ぶ「おれたち、勇気がなかったんだよ!」が、最も一番大きな「総括」であった。
森と永田は間違っている、と声を出すこと。
外に助けを求めること。
その二つこそが、その二つしか、反省すべきことは何もない。

連合赤軍事件は、極めて日本的な構造の中で挫折していったのである。

この映画監督はそこまで思ってこの作品を作ったのだというようには私には思えなかった。時々流れる叙情的な音楽には辟易した。しかし、映像の力は大きい。観てみてよかった。いろいろなことを考えさせる映画である。











最終更新日  2008年06月08日 21時54分06秒
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