再出発日記

2008/08/22(金)22:11

次期国会の焦点-海外派兵恒久法

憲法(104)

憲法改悪反対共同センターの「講演・論文」コーナーに渡辺治氏の「改憲をめぐる現局面と海外派兵恒久法 」と言う論文が載った。現代憲法情勢を鋭く分析し、来る国会においてこの海外派兵恒久法の法律化を許すかどうかが、これからの改憲動向に決定的な影響を与えるということを説得力を持って論じている。一読に値する論文である。 論文は大まかにこのように章立てがされている。 1 安倍政権による改憲強行路線はなぜ挫折したのか? (1)安倍政権は改憲をどこまで進めたか (2)改憲強行路線挫折の要因 2 福田政権による改憲戦略の建て直しはいかなるものか? (1)改憲状況の一層の困難 (2)民主党との協調体制の再建 (3)改憲国民運動の再建と護憲運動に対する抑圧 3 なぜ、海外派兵恒久法が改憲の焦点として浮上したのか? (1)海外派兵恒久法の2つのねらい (2)海外派兵恒久法の骨格 小括 改憲を阻むために何が必要か? (1)海外派兵恒久法制定阻止に全力を (2)改憲阻止運動のさらなるバージョンアップを 私が特に注目したのは、以下のところである。 2-(3)で、ビラ配布逮捕事件や日教組の会場使用拒否や映画「靖国」へのクレームなどの一連の動きは「干渉の対象が九条の会に絞られつつある」と渡辺氏は分析するのである。「ビラの配布や会場の使用という九条の会をはじめとした市民の運動のもっとも基本的な活動の手段を規制する」と言うわけです。 3-(2)において、派兵恒久法の問題点を論じている。「国際平和協力法案」(いわゆる石破試案)がもっともまとまったものであるが、この石破案では、「つまり、国連の要請があろうとなかろうと、いつでも派兵できるようになっているのである。」「これに対して、民主党は「国連決議若しくは国連の要請にあったとき」と限定してくることは明らかなので、この間の調整が法案の成否の鍵となるであろう。アメリカは、自衛隊の派兵を国連の要請に絞ることに強い抵抗を示しており、日本の外務省も防衛省も、それではアメリカの要請に迅速に呼応できないと考えているから、事実上、この基準をどうするかが、海外派兵恒久法の最大の焦点となろう。」と述べている。 「民主党を改憲協議に巻き込む梃子」にすることもこの法案の狙いの一つであると、渡辺氏は言っているので、ここがまさに次期国会の焦点になる。 小括-(1)で渡辺氏はこのように言ってこの問題がこれからの改憲運動の重要な分岐点になると指摘する。 「こうした情勢の下で、私たちは臨時国会から衆院選後をも見越して本格的な海外派兵恒久法反対の運動を組んで行く必要がある。これを粉砕することができれば、私たちは改憲を阻む現実的な展望を切りひらくことができる。逆に海外派兵恒久法を通すようなことがあれば、解釈改憲で9条に大きく穴を開けるだけでなく、明文改憲への建て直しを許すことになる。文字通りの正念場がやって来る。」 なぜ「これを粉砕することができれば、私たちは改憲を阻む現実的な展望を切りひらくことができる。」か。この論文にあるように、それだけ福田内閣は追い詰められていて、この法律が唯一のそれを突破する手段になっているからである。しかし、此の間のオリンピックのさまざまな試合を見て分るように、一つの突破口から形勢は大逆転するのである。そしてそれだけの力が政府与党にはあるのだ。

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