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カテゴリ:読書(09~フィクション)
「あの人たちはみんな、日ごろわるいことばっかりしているから、時々、ああやってどうでもいい人助けをしたくなるんだよね」
陽気なギャングの日常と襲撃 「陽気なギャングが地球を回す」の続篇である。成瀬はを嘘見抜く名人。響野は演説の名人。久遠はスリの名人。雪子さんは精確な体内時計を持っている。その特技を生かして彼らの銀行襲撃は基本的にみごとに成功する。前作は映画にもなった。他の配役は忘れていたのだが、響野だけは強烈で、佐藤浩市以外はありえないとまで思った。世の中、口から先に生まれた人というのは時々いるが、響野までいくと、確かにそれは特技だろう。一見薀蓄を語る頭のいい男にも見えるのだが、ある程度つきあうと、「うんざりしてしまう」というタイプの男である。銀行襲撃のときに10分だけ人々の興味を引くのにちょうどいい男だということになる。それ以外にも役に立つとしたら、この小説の最後に例が示される。なるほど、と思った。 「終末のフール」みたいに深刻なテーマは今回は少しもないので、実に気楽にたのしめばいいという小説である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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