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カテゴリ:洋画(09~)
1987年、ハーレム。16歳の黒人少女プレシャスが二人目の子供を妊娠し、退学になった。少女は生活保護の母親と一緒に暮らしている。母親は子供の父親が少女の実父であることを知っている。しかし、母親は少女に大怪我を負わすような虐待と罵倒を繰返す。校長の勧めで少女は代替学校に通う。そこには、基礎の読み書きを教える優しく美しいレイン先生がいた。
監督・脚本 : リー・ダニエルズ 出演 : ガボレイ・シディベ 、 モニーク 、 ポーラ・パットン 、 マライア・キャリー 、 シェリー・シェパード 、 レニー・クラヴィッツ 学校の先生をしている映画仲間がこの作品をえらく褒めていたので、一週間の限定上映でなおかつ一日一回しかしない厳しいスケジュールではあったが、見逃さないように気をつけた。なるほど、彼が感心したのも頷ける。代替学級には教育の原点があった。冒頭、学級崩壊している普通学級の情景が映る。数学の先生は真面目に授業を聞いている前列の生徒のみ当てていく。こんな教育では駄目である。プレシャスは数学の授業は好きだが、ノートはとらない。(後でわかったが読み書きができなかったのだ)いつも最後列で好きな男先生とデートしていることを妄想しながら聞いている。プレシャスは数学だけは理解できるというからおそらく頭は悪くないのだということがここで分かる。文字が分からなくても論理を重視する数学は理解できるのである。 こういう、どこにでもいる落ちこぼれの女の子なのではあるが、いかんせん、家庭環境が悪すぎる。そういう少女が立ち直るところまでを描いた映画である。 びっくりするのは、代替学校に集まる少女たちは、なるほど口や態度は悪いけれども、基本ものすごく「素直」だということだ。冒頭の30人くらいの学級よりもこの7-8人の少人数学級、しかも本人の程度に合わせた授業が、どれほど青少年の学力を伸ばすものなのかをみごとに映し撮っている。ちょうど、世界教育水準1位のフィンランドがこのような教育を実施している。 最後のカウンセラー室での母親の独白はさすがにアカデミー助演女優賞を取っただけあるものだった。しかもそこだけまるでドキュメンタリーを映しているかのように、母親の独白に合わせてカメラが動いていた。面白い表現だった。 プレシャス(宝物)とその二人の子供の将来が気になる。決して明るいものではないような気がする。しかし、それまでの人生よりも前向きになったのは確かだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年07月01日 10時15分52秒
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