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2011年10月22日
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「ヤマト王権はいかにして始まったか」唐古・鍵考古学ミュージアム 桜井市埋蔵文化センター 編

本書は2007年10月に行われたシンポジウムをもとに加筆・訂正されたものらしい。新進気鋭の考古学者が集まっていたので読んでみたのであるが、非常に刺激を受けた。以下各自の発表論文の私的メモを羅列する。

【石野博信】
●池上曽根遺跡ではAD50に環濠の溝を埋めた。
奈良盆地で大々的に溝を埋めるのはAD180くらい。
つまり、纒向で「新しいマチ」作りが始まるのがこのころ。水路を作っている。(5m×250m)-基盤整備事業
●纏向遺跡のピークは土器編年で纒向2と3、庄内2と3、布留1-4であろう。
●纒向では生きている人間が墓を見守っているという構造になっているが、吉備では高いところに墓があり、居住地を見守っている。と、いうことは纒向のまだ見つかっていない宮殿等の都は東の山の高いところ、おそらく東大寺山古墳の辺りになるだろう。
●銅鐸工人が鉄つくりに転職したのか
●愛知系土器が一番多い。大和が戦争に勝ったから東海の人間が奴隷としてやってきたのか、あるいは大和が負けて東海の人間がやってきたのか。しかし、土は大和の土を使っている。つまりよそから来て住み着いている。
●卑弥呼共立の主導者は、わたしは楯築の被葬者一族ではないかと予想しています。ただし、マチづくりは吉備と発想が逆転している。

4882箸墓.JPG
箸墓古墳

【橋本輝彦】
●前方後円墳を構成している属性はもともと近畿にはなかったものばかり。しいて言えば、周濠、二重口縁壺、三種の小型精製土器。
●施設(巨大な墓と槨、聖なる空間、円礫・礫推)、呪具(巫女形、家形の土製品、弧帯文様)、墳丘(墳形、葺石、墳丘の巨大化)、立地(丘陵)までが吉備に備わり、北九州は副葬品は真似されている。また、葬送儀礼に関して供献土器にに丹塗りの土器が採用されている。ただし、段築は纒向ではホケノ、石塚、東田大塚ではあったが、吉備にはない。これはヤマト箸墓から波及した。これ以降、浦間茶臼山(岡山)、那珂八幡宮(福岡)、丁瓢塚(兵庫)に波及する。急勾配と盛り土は纒向の特徴。吉備は山の上になる。結論、吉備の力が前方後円墳の出現にかなりの力を与えている。
●纒向の大型建物群築造は3C前半。この時期に纒向の中心人物が居たのだろう。そして廃絶は3C後半になる。50-80年の歴史だった。
●纒向の歴史は、2C末から4C始め。約100年間だった。

3062弧帯石.JPG
楯築遺跡の弧帯石

【松木武彦】
●五世紀において造山古墳のように近畿と肩を並べるような大古墳を作り出せたのは、三世紀に古墳祭祀が生み出せる時に吉備が大きな役割を果たしたという伝統的な威信が保たれていて、ヤマト政権の中での格式が高かったからだろう
●環濠が廃れて墳墓へ←吉備では環濠らしい環濠はなかったのではないか
●画期は三回。
1、須玖岡本、三雲の甕棺墓
2、楯築 AD150年前後
3、箸墓 AD250年 楯築との間に、伝統、神話
楯築は「突如として出現した」鏡がないという特徴があり、あきらかに北九州の系統とは違う。そして墳丘が大きい。おそらく「王の物語」があるはず。
四隅突出墓と比べると楯築ほど、隔絶、飛躍していない。
●p146の図46は興味深い。吉備中心部の3Cの集落がここまで明らかになっていたとは思わなかった。上東が一番中心部で、川入、加茂、津寺に次の集落がある。
●唐古・鍵が大アーケード街とすれば、纒向は郊外のショッピングモール、新しい流通、交通、人の動き方の変化あり
●「私は箸墓を卑弥呼の墓と考えていますが、卑弥呼は倭国の乱といわれる混乱状態の中から、各地の有力者によって共立された人物です。だから、その乱れたなかからの統一の旗印となるためには、正当性を主張しなければならない。そしておそらく正当性の源泉が、人々の記憶や神話や、当時なりの歴史のなかに残されていた、北部九州の王たちと吉備の楯築に葬られた王の後継者たることにあったのだと思います。(略)私は、北部九州の人が奈良盆地に入ってきて武力で制圧したとか、吉備の勢力がそのまま移ってきて箸墓を作ったのだとは考えていません。私はやはり箸墓は、奈良盆地の人々が中心になって作り上げたものだろうと思います。」
●倭国王師升が楯築の被葬者か。中国に107年使いを送ったのであれば、ギリギリ間に合う。






最終更新日  2011年10月22日 09時15分57秒
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