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カテゴリ:読書(09~フィクション)
「おまえさん」(上)(下)講談社文庫 宮部みゆき 男はどこまでも莫迦で。 女はどこまでも嫉妬やきだ。 どっちも底なしだ。 俺はもう勘弁してもらうよ。 長い1200頁以上にも及ぶ本格時代推理モノの今回は、本格的な恋のあれこれの話だった。 人間の心は底なしである。 宮部の小説はいつも長いが、描いていることはいつもその一点だ。 雑誌での連載は09年に終わり、後は終章を描くだけになっていたのに、今まで延びてしまい、「申し訳ないから……」と単行本と文庫同時発売になったいきさつは、推測するほかはないが、宮部が恋の落し処に未だ迷っているという証左なのだ、と私は思ったね。同じ年齢(とし)の私が思うのだから、間違いは無いと思うよ。 白髪の多い薄い鬢を指で掻いて、源右衛門は初めて恥じ入ったようにうつむく。 「やはり、わからん」 むしろ学問を続けるほどに、わからないことが増してゆくようだった。 「それでも、儂は学問をしてよかった。人というものの混沌が、その混沌を解こうとして生み出した学問が、儂にわからぬことの数々を教えてくれた」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年11月20日 07時28分14秒
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