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2011年11月26日
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「モダンタイムス」(上)(下)伊坂幸太郎 講談社文庫

「自分たちのはめ込まれているシステムが複雑化して、さらにその効果が巨大になると、人からは全体を想像する力が見事に消える。仮にその、「巨大になった効果」が酷いことだとしよう。数百万人の人間をガス室で殺すような行為だとしよう。その場合、細分化された仕事を任された人間から消えるのは?」
「何だい?」
「『良心』だ」
「まさに、アドルフ・アイヒマンか、それが」岡本猛がストローで氷をまた、かき回し始めた。
「じゃあ、その仕組みを作った奴が、一番悪い奴だ」私は単純に言い切る。
「機械化を始めた奴が?誰だよそれは。それに仕組みを作った奴だって、たぶん部品の一つだ。動かしているのは、人というよりは目に見えない何かだ」(上巻P278-P279)


なんだかだんだんと伊坂幸太郎が芥川のように思えてきた。頭がよくて、社会の本質を見据えているのに、社会を斜(しゃ)に構えて書くことしかできなかった、そして自殺した人物。

この作品の中でも芥川の言葉が印象深く引用されている。
「危険思想とは、常識を実行に移そうとする思想である」

ところで、芥川の場合、「危険思想」とは「社会主義思想」のことであった。果たして伊坂の場合、どうなのか。「人というより目に見えない何かだ」というのが、私にはマルクスの「人間疎外論」のように思えて仕方ないのであるが。

そして「アリは賢くない。しかし、アリのコロニーは賢い」という「国家」というものに、斜(はす)から捉えた小説になった。

今回は「魔王」で提示された「独裁者とは何か」ということの伊坂なりのアンサーがある。結局、独裁者でさえ、一つのシステムの中に組み込まれて自由を持っていない。ということになっている。じゃあ、どうすればいいのか。
「勇気を持て」
「考えろ」

ということなたのだろう。

しかし、私はやはり伊坂の「逃げ」に思える。今回、本当ならば殺されても自然な主人公たちがのうのうトラストを迎えているというのすごく安易に感じるし、某元大阪府知事の「独裁けっこう」というへんな流れに対して肯定ではないにせよ、斜に構えることしか効果は無いこの小説に対して、少し幻滅したということもある。明日は、このままでは「独裁者」が誕生しそうな雰囲気である。もちろんこの某元大阪府知事も決して信念を持って「大阪を変えよう」と思っていないことは、斜から見れば、見えるほどに見える。それでも「変化して欲しい」と住民が望むというのならば、もう何をかいわんや。

いつもの伊坂に比べて、伏線として使われる「名言」が嫌にひつこく使われていて、「切れが悪いな」と思っていたら、どうやら漫画週刊誌の「モーニング」に連載されていたらしい。その読者用に書かれたのだと思い、納得した。結果、同時期に作られた「コールデンスランバー」のような傑作とはなっていない。






最終更新日  2011年11月26日 20時56分13秒
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