再出発日記

2012/05/13(日)10:49

『楊令伝11』岳飛の成長そして行方

水滸伝(78)

「楊令伝11」北方謙三 集英社文庫 「退け。退き鉦」 初めて岳飛はそう言った。しかし、遅い。「珪」の旗が、すぐそばにあった。 それからどうしたか、わからない。駆けに駆けた。追撃が熄んだ時、一万騎は七千に減っていた。 そのまま隆徳府の軍営に駆け込んだ。馬を降り、顔をあげて営舎に入り、ひとりになると膝を折った。床に額を叩きつけた。流れた血が、視界を塞ぐ。(略) 「会議を開く。敗因について、俺が説明する」 「そこまでしなくても」 「いや、俺の誤りで負けた場合は、それは説明すべきだ」 徐史は、迷っているようだった。岳飛は、大声で従者を呼んだ。 隆徳府の軍営にいた将校は、全員集められた。岳飛は出動し、斥候を出したところから説明を始めた。壁に大きな紙を貼り、両軍の動きを、筆で書き込んでいった。 質問は、幾つか出た。その時、その時の心の動きまで、岳飛はできうる限り説明した。そうしながら、負けるのは当然だった、とまた思った。蕭珪材の動きには、気負いというものがまったくない。自然体で、ただ前に出てきている。だから、どうにでも動ける余裕があったのだ。 勝つためにどうすべきだったのか、ということも話した。 岳飛が話している間、軻輔はただ腕を組んで、黙って聞いていた。(208p) 十一巻目に至り、かすりもしなかった岳飛の実力は、少しだけ楊令軍に近づく。しかし、あと四巻しか無いのだ。これがどうやって、楊令伝から岳飛伝に移ることが出来るというのだろうか。これからの展開が、岳飛に限っていえば、全く読めない。 楊令の国造りは、とりあえず順調だ。経済的基盤は何とか出来た。あと、何が必要なのか。

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