再出発日記

2013/10/14(月)11:15

9月に観た映画

洋画(12~)(337)

9月に観た映画は全部で9作。9月は夏休みが終わって比較的落ち着いた時期なので、いい作品にいくつか出逢うことができました。 「マン・オブ・スティール」 制作がクリストファー・ノーランなので、てっきりもっと重厚なモノになると期待して来たのだけど、やっぱり作品はザック・スナイダー監督のものだった。 前回の「スーパーマンリターンズ」と同じ体力聴力読心力レーザービームまで持っている神に近い超人になってしまっている。 違うのは、クリンプトン星の設定である。おそらく地球までも植民地候補にした絶頂を極めたこの星も、効率を求めたのか人々を「役割」を決めて生まれるようにしてしまった。スーパーマンは唯一自然出産の男の子という設定である。そのために特別な能力を持ったのかと思ったのであるが、唯一持ったのは「選択する力」だと云う。超人になるのは、地球の環境がさせる術らしい。だから、クリンプトン星のゾッド将軍が来たならば不利になってしまう。 出生の地のクリンプトン星を蘇らせて地球を滅ぼすか、それともクリンプトン星人を絶滅させて地球を救うか。この選択に、スーパーマンは少しだけ悩んで当たり前の結論を出す。まるきり、「移民大国アメリカのアメリカのための映画」でした。 あ、映像は凄かったです。久しぶりに寝なかった。 (解説) クリストファー・ノーラン製作、ザック・スナイダーが監督を務めたスーパーマン誕生までの物語を紡ぐアクション大作。過酷な運命を受け入れ、ヒーローとして生きることを決意する主人公の苦難の日々を驚異のアクションと共に描き出す。『シャドー・チェイサー』などのヘンリー・カヴィルが主人公を熱演。悩んだり傷ついたりしながらも前進する主人公の姿が目に焼き付く。 (キャスト) ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、ローレンス・フィッシュバーン、ケヴィン・コスナー、ダイアン・レイン、ラッセル・クロウ in movix倉敷 2013年9月1日 ★★★☆☆ 「劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日」 「歴史を作るのは名もなき人々。歴史上の事件よりも彼らを取材することにこそ、歴史の真実が見えてくる」という信念の元に未来の報道者の要潤は事件報道部の第一報道部よりも第二報道部に入れ込んでいる。 テレビ版では滅多に出てこない未来パートに加え、今回の舞台の戦国時代だけで無く、1985年と1945年の「庶民」の姿も見せていくという豪華版。 いやあ、満足しました。未来社会のドキュメンタリーという姿勢を、歴史的事件報道を中心にしたいという夏帆との対比することで貫いていた。一風変わった時代劇映画になっていた。ただ、茶壺を取り戻す経緯があまりリアルじゃなかった。現代に近いほどリアルに徹しないと、このいいアイデアが台なしになる。 安土城は一日主が不在だったんですね(歴史的事実)。それならば、いろんな人が入って来て失火しても仕方なかったんじゃないでしょうか。 (解説) 2009年にシーズン1の放映がスタートし、人気を博しているNHKのドキュメンタリー・ドラマ風の番組を映画化。さまざまな時代にタイムワープして歴史の裏側に迫る時空ジャーナリストの青年が、戦国時代の武将・織田信長が天下統一の拠点とするも、いまだ焼失した原因が不明の名城・安土城最後の一日の謎に挑む。テレビ版でおなじみの要潤と杏をはじめ、夏帆、時任三郎、上島竜兵、宇津井健ら新キャストを迎え、四つの時代を往来する壮大なスケールの物語が展開。 in movix倉敷 2013年9月7日 ★★★★☆ 「さよなら渓谷」 作劇上は尾崎夫婦の秘密は中盤になってやっと分かる様になっているが、予告だけでは無くあらゆる処でこの二人は実はレイプ事件の加害者と被害者だという事はバレバレ。そのつもりで二人の演技を眺める。 この真木よう子は今年の主演女優賞だと思う。 「何でもすると言ったわよね。ホントにすまないと思っているのなら、私よりも不幸になってよ!だから、私は絶対自殺しない。」 もしも、すぐそばでずっと自分を憎んでくれる女性がいたならば、自分の人生を捧げてもいいと思う男(大西信満)もいるかもしれない。 女性は体力では男性に劣る。だからレイプ事件はたいてい女性が被害者である。しかし、女性には「決定する力」がある。私自身はゴメンだと思うけれども、女性のわがままとも思える「翻弄力」は一般男性が持ち得ないものだ。合わせ鏡の様に夫婦を探る記者(大森南朋)の妻(鶴田真由)がその翻弄力を持っていた。 集団レイプ事件で、1番優しかった尾崎が「かなこ」の「対象」に選ばれたのはなぜか。 かなこは尾崎を突然2日間「もうついて来ないで」と言いながら引き回す。そして橋の上でちょっとの間いなくなった尾崎に「逃げたのかと思った。現れてホッとした」と言う。その時に尾崎が慟哭したのは何故か。 半年間夫婦もどきを過ごした後に「私が決めなくちゃね」と言ってかなこが消えたのはなぜか。 繰り返すけれど、私はゴメンだけれど、こういう愛の形があってもイイと思う。 監督 大森立嗣 モスクワ国際映画祭審査員特別賞受賞 inシネマクレール 2013年9月8日 ★★★★☆ 「許されざる者」 リメイクではある。場所と設定は違うが、大まかな物語は同じではある。しかし、これはクリント作品とは違う李相日作品だと思い定めて見た方が、迷いがなくなるとは思う。終わってみれば、「人を殺すことの意味」は西部開拓時代と武士の江戸から明治に移りつつあった時代では全く違うのだ。 だから、ラストも違う。 十兵衛はクリント作品の様に、生きて子供の処に帰ることは許されない。 辱めを受けた女郎は、最後まであの二人の男を憎み通すことは出来ない。人を殺すことは、誰が見ても「悪い」ことなのである。しかし、明治の辺境のこの一瞬のみ、ここが無法地帯になった。李相日監督はそこにかけたのであり、その意味では面白い作品だった。 前作の重要なセリフもない。 マーニーは言う。 「殺しは非道な行為で人の未来を奪うものだ」 若者はうそぶく。「やつらは自業自得さ」 「俺たちも同じだぞ」 今回若者の位置づけが違う。単なる賞金稼ぎ志望の跳ねっ返りではない。少数民族のアイヌの矛盾を背負った和人との混血である。若者に跳ねっ返りのセリフを言わせる必要はなかったのである。 この作品は、アイヌ民族が日本民族に駆逐される処を描いた数少ない作品になった。 (解説) クリント・イーストウッドが監督と主演を務め、アカデミー賞作品賞などに輝いた西部劇をリメイク。江戸幕府最強の刺客として恐れられた男が、やむを得ぬ事情から一度は捨てた刀を手にしたことから壮絶な戦いに身を投じていく姿を描く。メガホンを取るのは、『フラガール』『悪人』の李相日。ハリウッドでも活躍が目覚ましい渡辺謙をはじめ、、柄本明、佐藤浩市らキャストには実力派が結集。彼らの妙演に加え、開拓時代の西部から明治初期の北海道への舞台移行などの改変点にも注目。 in movix倉敷 2013年9月13日 ★★★★☆ 「ウルヴァリン:SAMURAI」 やはりというか、お約束のというか、とんでも映画でした。大きな所から細かい部分まで、ハリウッドは日本に対する「勘違い」を決して正そうとは思わないらしい。日本人はそれを見て許したり、喜んだりしているのだから、何をかいわんや、なのですが。 長崎の原爆の時に軍部は決して部下や捕虜を逃がそうとはしなかったし、ましてや飛行機に向かってハラキリなどはするはずなかった。或いは、現代の東京であんなに拳銃を撃つ事は無理。 たまたま出会った東京出身の映画仲間は「道成寺から直ぐに秋葉原に出たり、上野駅から長崎へ行くのは無理」と言っていた。 そんなこと書くとキリが無いので、やめます。嬉しいのは、ずっと過去に向かっていたシリーズがやっと未来に向いたこと。Xメン三部作シリーズの最後から繋がっていて、凹んでいたモーガンが「やはり俺の生きる道は○○なんだ」と立ち直るのがこの映画の唯一のいい所です。 わざと無名の女優ふたりを使ったのだと思う。TAO、福島リラともに変な日本語じゃなくて、存在感を持っていて良かった。新幹線上の超スピードアクションは新感覚で良かった。 終わっても直ぐに席を立ってはいけません。 (解説) 『X-メン』シリーズのメインキャラ、ウルヴァリンを主人公にした人気アクションの第2弾。超人的治癒能力と手の甲から飛び出す鋭利な爪を持つウルヴァリンが、日本で自身の運命を大きく左右する戦いに身を投じる。『X-メン』シリーズと前作に続き、『レ・ミゼラブル』などのヒュー・ジャックマンがウルヴァリンを力演。メガホンを取るのは、『ナイト&デイ』などのジェームズ・マンゴールド。一大ロケを敢行して撮影された日本の風景をバックに展開する壮絶なバトル描写や、ハリウッドでも活躍している真田広之の共演にも注目。 ヒュー・ジャックマン、真田広之、TAO、福島リラ、ハル・ヤマノウチ in TOHOシネマズ岡南 2013年9月18日 ★★★☆☆ 「エリジウム」 快作である。 「第9地区」で南米スラム街の複雑な現実を徹底的に皮肉っていたが、少し分かりにくい所もあった。今回は、設定は思いっきり細部に拘っているけど、テーマは貧困格差に集約化してとても分かりやすく、そのくせ鋭い。 ブロムカンプ監督らしい猥雑さは残しながらも、エリジウムの優雅さも描かれているから地球の貧困がスッキリ共感出来るのである。 警察の横暴、直ぐにリストラされる危機、貧困層には命が保障されない現実、それらのアメリカや世界の現実を皮肉たっぷりに描いてくれて、しかも「泣けるハッピイエンド」で終わらす。社会性とエンタメとの融合が素晴らしい。 マチルダのお気に入りの「カバとの約束」のお話が世界を救うのである。 そうそう、書き忘れたけど、冒頭20分ぐらいに示される環境汚染と人口爆発のために富裕層がエリジウムに逃れたあとの地球の様相は、そのままアメリカの現実の戯画でした。堤未果の「(株)貧困大国アメリカ」によれば、エリジウムは既にアメリカ国内に実現しているのである。2005年人口10万人の完全民間経営自治体サンディ・スプリングス市が誕生しているらしい。平均年収17万ドルの富裕層と、税金対策で本社を置く大企業か住民。ここでは、余分な税金を低所得者層の福祉その他に取られず、最も効率よく自分たちためだけのためにサービスを受けられるのである。また、マックスは前科があるために、ロボットの警察と役人の横暴に絶対服従を取るけど、これもたとえ軽犯罪でも三回刑に服すると無期懲役になるスリーストライク法としてアメリカに既にある。アメリカには民間健康保険しかないために富裕層しか充分な医療を受けられないということは有名である。 アメリカ人が観ると、多分いろんな細かい点で「これは既に現実のアメリカだ」と思うのだと思います。 (あらすじ) 2154年。スペースコロニー“エリジウム”で生活する富裕層はパーフェクトな居住空間で過ごす一方、荒廃した地球に暮らす貧困層はひどい搾取に苦しんでいた。エリジウム政府高官のローズ(ジョディ・フォスター)が地球の人間を消そうと動く中、地球で暮らすマックス(マット・デイモン)はエリジウムに潜入することを決意。残り5日しかない寿命を懸けて戦いに挑む。 (解説) 『第9地区』が第82回アカデミー賞作品賞などにノミネートされた新鋭ニール・ブロムカンプ監督が、マット・デイモンを主演に迎えたSFアクション。22世紀、富裕層だけが居住を許されるスペースコロニー“エリジウム”を舞台に、虐げられた地球の住人の反撃をハードに描く。マットのほか、ジョディ・フォスターや『第9地区』『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』のシャールト・コプリーが出演。ブロムカンプ監督の斬新なアイデアや演出に期待。 in movix倉敷 2013年9月20日 ★★★★★ 「この空の花 長岡花火物語」 市民のつどい2013前夜祭の映画「この空の花」(大林宣彦監督)とってもよかったです。五つ星★! あまり前情報無しに観たのですが、最初は長岡花火に震災を絡めた地域発映画かと思ったら全然違いました(震災とは当然絡めています)。どこからドラマパートで、どこからドキュメンタリーなのか区別がつかなくなる、監督のエッセイ映画とでも言っていい作品でした。 劇中劇の「まだ戦争には間に合う」という高校生演劇が一つの縦糸になって物語が進みます。ここまでも、平和への祈りを込めた作品なのだとは思いませんでした。 松雪泰子、高嶋政宏、原田夏希、柄本明、片岡鶴太郎、犬塚弘、藤村志保、笹野高史、そして富司純子その他有名無名老若男女の俳優が協力して、このタペストリーとでも言えるメッセージ映画が出来上がっている。 そしてラストの三尺玉の戦没者追悼の真っ白い花火。そして色とりどりの見事なフェニックス花火。 「世界中の爆弾が花火に変わったら、きっとこの世から戦争はなくなる」山下清が言ったというこの思いが、実際に長岡の魂になっている。それは、東京中心に進む日本の未来に必要な視点だと思う。 2013年9月15日 ★★★★★ 「タイピスト!」 痛快な女子スポ根映画。 いろんな名作映画のオマージュがかかっているらしいのだが、古典映画に疎い私は全然わからなかった(^_^;)。その代わり、強烈に日本の少女マンガの名作のことばかり思い出していた。その名は「エースをねらえ!」ドジで不器用なローズは、鬼コーチのルイのことを最初は嫌っているけれども、やがては愛するようになってゆく。その頃は秘められた才能が開花し、ローズは世界的な選手になっているのであった。どうでしょうか?スポ根少女マンガの王道ではないでしょうか。 同時に野暮ったい50年代ファッションで始まったローズが蛹が蝶になるように変身してゆくのも見ものである。明らかに「新しいスターの誕生」を目にしたと言っていいだろう。デボラは「ある子供」に出ていたらしいが、全く覚えがない(少女でお母さんになったあのヒロインらしい)。 そして、大笑いはしないけれども、上品な笑いと上品なエッチがあって、それなりに現代的な映画になっている。秋を友だちと愉しむには、いい映画です。 久しぶりにフランス映画の秀作。 「アメリカにはビジネス、フランスには愛を」 (解説)  1950年代フランス。女性たちは自由を求めて社会へ飛び出そうとしていた。そんな彼女たちの憧れNO.1の職業は「秘書」。その中でももっともステイタスを得られるのは、当時一大競技として人気だった<タイプライター早打ち大会>で勝つこと。ドジで不器用なローズは、秘書になるため各国代表と、タイプでオリンピックさながらの闘いに挑むことになるが―。 『アーティスト』『オーケストラ!』の制作陣が集結。タイプ早打ちの知られざる、しかし、過酷な死闘を繰り広げる競技の白熱シーンの驚きも話題となり、本年度セザール賞5部門にノミネートされた。天然系キュートなヒロイン×ポップな50年代カルチャー×興奮と感動のスポ根。エンターテインメントが誕生した! 監督 レジス・ロワンサル 出演 ロマン・デュリス、デボラ・フランソワ inシネマクレール 2013年9月22日 ★★★★☆ 「地獄でなぜ悪い」 園子温の初めてのコメディ映画と言いながら、そこは園子温、途中まではぜんぜん笑えない。かなりブラックでこのままでいいのかな?と思っていると、驚いたことにある場面から笑えるようになってくる。でもずっと居心地の悪い笑いだった。しかも、驚いたことに、途中に泣ける場面まであるのである。 二階堂ふみがかなり色っぽくなっていた。日本映画に特異なB級映画がひとつ誕生したという感じ。 (粗筋) 憎しみ合うふたりの男、武藤(國村隼)と池上(堤真一)。武藤は、娘のミツコ(二階堂ふみ)の映画デビューをなんとか叶えたいあまり、自らミツコ主演で映画の製作をはじめる。憎い男の娘と知りつつもミツコに惹かれはじめる池上、ひょんなことから映画監督と間違えられた公次(星野源)、その公次に頼まれミツコ主演映画を撮るハメになる映画青年・平田(長谷川博己)が加わり、事態は想像を絶する方向に向かっていく……!※PG12 監督 園子温 出演 國村隼、長谷川博己、星野源、二階堂ふみ、友近、堤真一 in TOHOシネマズ岡南 2013年9月29日 ★★★☆☆

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