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カテゴリ:邦画(12~)
今月の映画評はコレです。
「妖怪大戦争」 お正月映画として何を紹介しようかと悩んで高畑勲「かぐや姫の物語」を用意していたのですが、書けば書くほど難解なモノになってきたので、急遽先日亡くなられた水木しげるさんゆかりの「妖怪大戦争(2005)」にしようと思います。これだと、完全エンタメで家族で楽しめます。 ひょんなことから「麒麟送子」に選ばれた少年が妖怪たちと力を合わせ、人類を滅ぼそうとする魔人(豊川悦司)と戦う姿を描いた冒険ファンタジーです。 水木しげるさんの原作ではないのですが、プロデュースに関わっていて、荒俣宏、京極夏彦、宮部みゆきたち妖怪大好き作家たちが全面協力している(出演までしている)ので、映画「ゲゲゲの鬼太郎」よりも遥かに「妖怪愛」に溢れていると感じました。妖怪たちが「人間に媚びていない」のです。妖怪大将ぬらりひょんは、人類の危機に立ち上がりそうになりますが、拒否します。結局妖怪たちが魔人たちと戦うことになるのは、もっと他のとんでもない理由からなのです。 ところで、ぬらりひょんには今は亡き忌野清志郎、主人公のお爺さんに故・菅原文太が出演。今から考えれば凄い配役となっています。主人公タダシの神木隆之介君はまだ10歳ちょっとの頃で、とっても可愛い。その他、何百人と登場する妖怪たちは、一切CGを使わずに、みんな着ぐるみで化けています。誰がどんな妖怪になっているのか、見つけるのも大きな愉しみです。そもそも妖怪の名前わかるでしょうか?主な妖怪だけでも、猩猩、川姫、川太郎、小豆洗い、一本タダラ、大天狗、砂かけ婆、ろくろ首、雪女、豆腐小僧、大首、油すまし、姑獲鳥が出てくるのですが、わかるでしょうか?子どもと一緒に名前を当てに行くのも楽しいですよ。 至る所に、おごる人間に対する戒めが隠されています。曰く『過去を知らなければ未来はない』『復讐するのは人間の証し。私はそこまで穢れたくない。だから、人を救い、人を赦す』 そして最後に水木しげるが扮する妖怪大翁が登場して含蓄ある言葉を発して悠然と去っていきます。 『勝ち戦?ばかいっちゃいけませんよ。戦争はいかんです。腹が減るだけです』 この台詞は水木しげるさんに自由に任されたそうです。南方戦線で九死に一生を得た水木さんの偽らざる想いだったのでしょう。(2005年作品、監督三池崇史) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年12月18日 11時58分30秒
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