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2016年01月11日
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テーマ:本日の1冊(3011)

「100のモノが語る世界の歴史1 文明の誕生」ニール・マクレガー 東郷えりか訳 筑摩選書

博物館フェチで考古学ファンの私は、当然のことながら、大英博物館の展示物をして世界の「歴史」を語らせようとするこの企画に全面的に喝采を送りたい。同じような企画が日本の国立博物館にもあって然る可きだとも考える。ただし、事件史や人物史を想起させる歴史とは言わずに、人類史という可きだとは思うが。

私の関心はご存知の通り、弥生時代後期である。よって、古代までの人類史に注目が行くので、それまでの関連遺物にだけ注目するのを許して頂きたい。

どんな遺物にしても膨大な情報が詰まっているのだから、素晴らしい案内人を得れば、素晴らしい物語が紡ぎ出されるのは理の当然。

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先ず素晴らしいのは「オルドゥヴァイの手斧(タンザニア、120ー140万年前)」である。この手斧の形はあらゆる博物館で見ることができる。まさに100万年の超ロングセラーだ。しかもそれよりも40万年ぐらい前の人類最古の打製石器(オルドゥヴァイの石のチョッピング・トゥール)よりも遥かに美しい。「この手斧を作るには綿密な集中力と計画的な創造性が必要であり、それは我々の祖先の世の中に対する見方と彼らの脳の働きとに多大な進歩があったことを示唆している」(51p)この手斧を作る技術は、より良い衣食住を整え、世界に旅することを可能にした。暖かいサバンナからより寒い気候の中で生き延びることになっただろう。技術を可能にした会話力は、大きな社会を作っただろう。

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びっくりするのは14番目に登場した「ヒスイの斧(イングランド、BC4000-2000)」である。120万年間の間に形が変わっていないことだけではない。びっくりしたのはもちろん、磨製されているとか素材とかの加工技術の進化のことではない。それだけの進化ならば、120万年は長すぎる。これは使われた形跡がない。信仰の対象として持ってこられた。何処からか?ヒスイはその場所だけではなく、石そのものを特定する。イタリアのアルプス山脈の2400m級の山の上の巨礫を火力採掘法で剥ぎ取って出来たことを自ら証明した。しかも、数世紀に渡り、同じ石から採った兄弟石まで存在するのだ。信仰というものが、それほどまでに永い時と、長大な旅を作らせる力を持つことを、一つの遺物が証明するのである。なぜ、此処から?著者は言う。「おそらくその場所ならば、地上のわれわれの世界と神々のいる天空の領域との中間から石を採取できるからだろう」(140p)

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第一巻では日本からは唯一「縄文の壺(BC5000)」が紹介される。人間のモノづくりの最大規模の躍進の一つとして、縄文時代に世界最古の「土器」が作られたことに言及される(1万6500年前)。日本では縄文土器といえば、先ずはその奇抜で美しい装飾について言及されるが、大英博物館はそこに関心は行かない。土器は調理法を改革する。日本はおそらく「スープ発祥の地、シチューの祖国」らしい。また、英国人は「ヨーロッパではこれまでずっと土器や陶器を作った人々は農耕民で、農耕を通じてのみ人間は一つの場所に定住することができたのだと考えてきました。農耕民ならば余剰食物を蓄えて、冬の間も生き延びられたからです。一年を通じて一つの場所に留まって初めて陶芸ができるようになる。なにしろ、土器は持って移動するには厄介な代物ですから。しかし日本の例はじつに興味深い」(103p)日本の地理的と世界気候変動の偶然がもたらした四季がはっきりした豊かな自然が、定住を可能にした。よって、日本は世界にかなり遅れて稲作文化を受容することになる。ところで、私見ではあるがその伝統が争いのない日本列島を実現したのだと私は思っている。1万5000年以上の伝統を、たった数千年間の間に覆してきたのが日本人ではある。しかし、この伝統はまだ生きている。と私は信じている。

その他、最初の文明の特徴を表すラベルやら、科学と文学の始まりを表す粘土板やらパピルス、布や金貨や仮面や銅鈴に、面白い物語が内包しているのだが、それは是非読んで欲しい。私も第二巻までは紐解こうと決意した。
2016年1月10日読了






最終更新日  2016年01月11日 10時10分59秒
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