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2016年01月20日
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テーマ:本日の1冊(3096)

「桜ほうさら(下)」宮部みゆき PHP文庫

前回の(上)の書評で私は「絵巻物みたいになって落としどころがピリリとしない」と書いた。訂正してお詫びしたい。下巻になって、畳み掛けるようにテンポも良くなり、時に辛く時に甘く、見事に物語を着地させた。

また、「本格的な政治家は登場させない」とも書いた。しかし私は忘れていたのだが、「孤宿の人」の加賀様にしても、この作品の東谷様にしても、のほほんとした姿とは別の「冷酷な政治家」の姿が、良く読むと描かれているのである(反対にいえば、この二つは宮部みゆき作品の中でも例外に入るのではないか)。

浪人の三益兵庫は、貧困の中で妻子を亡くし絶望して竹光で腹を切り死ぬ。それを看取った長屋の少女・おきんは、同じ浪人の笙之介を心配して「お武家様は、面目が立たないと生きていかれないの。貧乏は恥ずかしいの」と泣きじゃくる。それを見て笙之介は云うのだ。

「私は三益殿のようにはならないよ」
笙之介はまだ、人というものに信を置くことをやめないから。
「三益殿がお腹を召したのは、この世にいる意味が見つからなくなったからだ。生きる甲斐がなくなってしまったからだ。武士の面目などのせいじゃない」(263p)


この約20年間に、会社人間が貧乏に陥り自殺する人が飛躍的に増えた。それに対する宮部の答だろう。

同じく、社会からドロップアウトした元青年と青年を2人登場させて、笙之介を面罵する場面をつくる。社会にたいする憎悪を、人を傷つけ殺めることで代替する。これも、現代の何処かで見たような場面だった。

笙之介は、社会に絶望し人を憎悪して作られた「読み物」を、新たな物語に作り直す。その内容は作品の中では明らかにはされないが、この上下巻を通じて語られていることだと、私は想像するのである。
2016年1月17日読了






最終更新日  2016年01月20日 20時54分54秒
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