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2016年07月05日
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テーマ:本日の1冊(3683)
メッセージ.jpg
「メッセージ」萩尾望都 小学館文庫

2006年から2011年の大震災直前までに描かれた作品群の全貌。主にメッセージシリーズと、浦島舞の片思いシリーズを収録する。シリーズ連作「ここではない★どこか」の第二弾単行本らしいが、この本に収録された二つのシリーズに関連はない。

感想を長々と書けないので、メッセージシリーズの特に「オディプス」と「スフィンクス」について述べる。語り部は時を超えて現れる悪魔の右手(左手は天使?)を持つ黒装束の男である。彼は「運命」を知っている。男は有名なオディプス王にまつわる「運命」を全て知っていて、事が起きる直前に「その道を行くな」と伝える。時には手を掴んで強く諌め、時には道理を尽くして説得する。

そこには神託を間違って解釈した者が引き起こす次々と連鎖する「悲劇」がある。有名な「父親殺し」と「スフィンクスの謎解き」の挿話はその間の出来事である。

いくらメッセージを伝えようとも、運命は変わらない。萩尾望都は2007年に一度オディプス王が自らの運命を呪って目を潰す直前の話を描いた。そして二年後なんと同じオディプス王の若い頃から遡って、王と妃にさらには2人の運命を演出した使用人ペレに、メッセージを伝える。しかし、運命は変わらない。

悲劇の原因はなんだったのか。黒装束の男は知っている。「あなたは知らなかったのです。罪はライオスとイカオステのものです」。しかしオディプスは言う。「今は知っている。ではその罪を知った者が(2人亡き今)最後につぐわなければならない」そして王は自ら罰する。オディプスが本当にするべきは、この神託も解釈次第では間違うこともあることを天下に明らかにすることであって、そのまま目をつぶしたまま荒野を放浪することではなかった。このままでは、真の原因(神託を信じる政治)はなくならないままそのまま続くだろう。

神託による王の命令に背き幼きオディプスを山で殺さず、その後山で父親殺しをしたのがオディプスであったことを伝えなかったペレは、黒装束の必死の「真実を求める問いかけ」に応えず「いいえ、わたしやなにもしておりません。わたしやなにも見ておりません。そしてこれからのことも見たくありません」と言って去って行く。その事なかれ主義が、政治の革新を遠くに去ることに繋がるだろう。

萩尾望都はなぜ、二度に渡り同じ挿話を使ったのか。

「運命」という、人間に対する巨大な「課題」に対して、半神半魔のメッセンジャーである萩尾望都の必死の「訴え」が、ここにある。美しい絵に騙されてはいけない。そして時を超え、そのメッセージは、2011年3月11日にも届いただろう。何も変わらなかったけど。

文庫の帯にはこう書いていた。
「眠れない夜は、あなたのことを思い出す」
歴史的瞬間か、うたたかの想いか。
変幻自在の萩尾ストーリーズ!





produced by 「13日の水曜日」碧猫さん

そして、大橋巨泉さんの遺言ともいえる、テレビ報道では隠された「必死のメッセージ」はこれである。

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最終更新日  2016年07月05日 18時05分28秒
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