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2016年07月15日
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テーマ:本日の1冊(3025)
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「消された一家 北九州・連続監禁殺人事件」豊田正義 新潮文庫

黒沢清監督の「クリーピー 偽りの隣人」を観て、そのもとになった事件だという噂を聞いてこの本を紐解いた。一日で読んだ、というか確認した。

クリーピー(おぞましい)という形容詞は、おそらくこういう事件のためにあるのだろう。映画を観てから一週間経てもなお頭の奥の嫌な感じがとれなくて、この本の中の「事実」を確かめることにしたのだ。鑑賞直後「映画を観た人はこんなことはあり得ないと思うだろうから、作品の賛否は分かれるだろう」と考えた私の予想は、半ば当たり半ば外れていたことがわかった。作品の賛否は確かに分かれた。しかし、私でさえあり得ないと思っていたことが、事実として行われていたのである。

例えば、映画の犯人の娘とされていた澪(藤野涼子)は、時々「あの人父親じゃありません」とはいうものの、自然に親子の振る舞いをしていたし、毎日学校にも通っていたのである。そこまでマインドコントロールができるものなのか?しかし本書では、紙数の関係かそこに突っ込んだ書き込みはなく実にさらっと、この事件の生き残りで通報者17歳の服部恭子(仮名)の小学校と中学校の「通学」のことが書かれていたのである。また、買い物は殺し殺された女たちの仕事だった。彼女たちには頻繁に犯人に電話連絡する義務はあった。しかし、警察に通報するとか、逃げるということは、一部の例外事件(それさえも巧妙に阻止された)を除いては、することはできなかったのである。

映画よりは、遥かにリアルで陰惨な現実がある。

戦争は人間を人間でなくさせる、という。閉鎖空間での洗脳、極限の苦痛、絶対的服従の対象のあること、そういう中で人は「やってしまう」のかもしれない。この事件は、そういう意味で人間の「原罪」をも照射する事件だったのかもしれない。

B級戦犯の緒方純子がA級戦犯の松永太と同じ死刑判決になったことに、著者は疑義を唱える。そのことは二審と最高裁判決の無期懲役に結びつく。その過程で、マインドコントロールのメカニズムが一部明らかになったのは、大きな成果である。しかし、あまりにも陰惨な事件だということもあって、その全貌はマスコミに流れていない。私でさえ、最初期の報道の印象から、この事件の主犯は女性の方(緒方純子)だと、本書を読むまでは思っていた。

幼児を含む7人の殺害という稀に見る犯罪性、被害者が被害者の子どもや親を殺すマインドコントロールの恐怖、極限まで非人間的な死体処理の酷さ、主犯松永のサイコパスの来歴が何処から来たのか最後までわからなかった謎、この事件は詳細を知れば知るほど、身の毛がよだつのではあるが、一方では二度とこんな事件を起こさない、そしてこんな社会にさせないためにも、知っておくべき事件だと思う。

2016年7月4日読了






最終更新日  2016年07月15日 11時14分53秒
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