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カテゴリ:読書フィクション(12~)
「死神の浮力」伊坂幸太郎 文春文庫 あの時の父はこう言った。「じゃあ、俺が先に行って、怖いかどうか見てこよう」(489p) 私の父親は、そんな優しいことは言ってくれなかった。ある日見舞いに行くと、「死んでいくとはこういうことなんだな。やっとわかったよ」と悟ったようなことを言っていたかと思えば、ある日行くと「痛い、怖い、怖い、痛い。そばにいておくれ」と泣きつき、ある日行くと「ありがとう」と生涯言ったこともないような殊勝なことを言っていた。ある日行くと昏睡状態に入っていて、二度と目を覚まさなかった。 伊坂幸太郎の死神千葉シリーズは先が見えない。先が見えないからこそ、死は怖く、いつの時代も人間にとっては最大の難問になっている。 でも、この本を読んで私は「はっ」と思った。父はあの三ヶ月間で、行って帰ってきてくれていたんだ、と。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年09月14日 14時11分07秒
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