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2017年08月23日
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テーマ:本日の1冊(2648)


「鹿の王 3」上橋菜穂子 角川文庫
 
おかしいとは思っていたんだ。後追い狩人の中でも素晴らしい腕を持つというサエが、怪我をしていたとはいえ、なぜ2年の間ヴァンの前に現れず、ヨミダの森で偶然のように遭ったのか。しかし、その時から怒涛の展開が始まっていたのである。
 
「鹿の王」は書き下ろしだ。この書だけで、一つの世界を造ってしまったのだから、一つの書に「書かれていない」様々な思惑を入れ込むのは、当然かもしれない。以前の作品よりもかなり大人向きの書物になっている。ホッサルとミラルの大人の恋も描いているし。

敵対する大国の狭間に存在していた小国の、生き残り戦略、小さな部族の、しかし忘れらない恨み、その真髄を知ってもなお、「戦は、自らの手を汚してやるものだ。おのれの身の丈で、おのれの手が届くところで」と言い切るヴァンの強さ。複雑な国のパワーゲームのなかで、人の生きる道をさりげなく示す。これも、確かに大人の物語ではある。
 
2人の主人公がいるということでも、かなり異色の物語である。物語の終盤に入った3巻の最終章で、ついに出逢う2人。おそらく、これ以降、ラストに向けて突っ走るのだろう。

2017年8月22日読了






最終更新日  2017年08月23日 15時27分53秒
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