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カテゴリ:読書フィクション(12~)
「ラプラスの魔女」東野圭吾 角川文庫 2018年3月14日、理論物理学者ホーキング博士が亡くなった。その影響で、私は4月7日に「ホーキング、宇宙を語る」(ハヤカワ文庫)を読んだ。その中で、何度もラプラスという名前が出てくる。曰く。 「フランスの科学者ラプラス侯爵は19世紀のはじめに、宇宙は完全に決定論的であると論じた。(略)ラプラスはそこからさらに進んで、人間の行動を含めたすべてのことを支配する同じような法則があると想定したのである。」(87p) その文章を読んで、映画好きの私は、5月公開予定の「ラプラスの魔女」の文庫本が本屋にあることを思い出し、本書を手に取った。一気読みしたのが、4月9日である。 だから、少し科学史に詳しい人間ならば、「ラプラスの魔女」という題名だけで、本書の内容の40%ほどは推理ではなく、予測がつくだろう。 それでも読ませて愉しい時間を過ごさせるのが、東野圭吾のエライ処だろうと思う。 映画化では青井役であろう櫻井翔がなぜ主人公になっているのか、本書を読むと違和感がある。まあお陰で「魔女」は広瀬すず以外ではイメージ出来ないぐらいにはなった。作者はもしかして彼女をイメージして本書を書いたのか? もちろん、小説は途中で必要なデータを小出ししてくるので、本書の半分で本書の全てを予測するのは不可能である。ただ、以下のことは指摘しておかねばならない。本書はこれで完全ではなく、「未来」において必ず続編が作られなければならない「予測」が成り立つ。 ホーキング博士は、先の引用に続けてこのように書いている。 「不確定性原理は、完全に決定論的な科学理論、宇宙モデルというラプラスの夢の終わりを告げるものだった。宇宙の状態ですら精密に測定出来ないのであるから、未来のできごとが正確に予測できるわけがない!」(89p)「ラプラスの決定論は二つの点で不完全であった。法則をどう選び出したらいいのか述べていないし、宇宙の最初の配置も示していない」(239p) このことの決着は、本書ではまだ描かれていないからである。 もっとも、私の「予測」も、もちろん決定ではない。 2018年4月9日読了 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年04月10日 12時20分07秒
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