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2018年04月18日
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カテゴリ:洋画(12~)
今月の映画評です。



「沈黙ーサイレンスー」
島原の乱が鎮圧されて数年後の長崎、捕らえられたイエズス会の宣教師ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)は、遂に踏絵を踏みます。その直前、彼はキリストの「それで良い、踏むのだ」という声を聴くのです。これが、この映画のクライマックス。ネタバレ承知でコレを書くのは、ここに至るドロリゴの葛藤をいろいろと想像するのが、この作品の醍醐味だからです。曰く。

確かにロドリゴは、殉教するよりも棄教する方が支配者のプロパガンダに乗ることを知っていました。果たして、ロドリゴは転向したのか、否か?
何度も転向を繰り返し、ドロリゴを裏切る貧農民キチジロー(窪塚洋介)の存在は、この物語にとって何を意味しているのか?

……答は一つではないでしょう。ただ、マーチン・スコセッシ監督が並々ならぬ決意でもって作ったのは、確かです。日本の役者もそれに応えて端役(塚本晋也、浅野忠信、小松奈菜、加瀬亮)に至るまで力演していて、かなり見応えがあります。特に、飴と鞭を使い分けて巧妙にロドリゴに棄教を促す井上筑後守を演じたイッセー尾形の造形は、単なる悪役ではなく、誠実な知性をも垣間見せる「怪演」でした。彼の「日本にはキリスト教は根付かないのだ」という理屈は、私をも「一理ある」と思わせる部分があります。しかし、人間の思想を権力が強制・弾圧するのは言語道断であり、現代の私は井上を決して許しません。「鞭」の部分の教徒に対する拷問は、熱湯、波死、溺れ死、逆さ吊り、首切り等々と陰惨を極めていて、観る方も覚悟が要ります。これらの描写は、最近のイラク戦争で問題になった米兵の拷問に触発されているのかもしれません。

遠藤周作の原作を禁書扱いにしたキリスト教圏内では賛否の分かれる作品であることから、昨年の映画賞ではあまり話題になりませんでした。でも日本人こそは、この作品をきちんと観て正当に評価するするべきだと私は思います。去年私はちょうど100作品観ましたが、これはベスト3に位置する力作でした。

ちなみに、私はこのように思っています。ロドリゴは転向しませんでした。また、キチジローはロドリゴの分身という位置づけだったと思います。2人の最後の無言の会話がとっても重要です。「主よ、私はあなたの沈黙と闘いました」「私はお前と共に苦しんだ。沈黙していたのではない」殉教のような勇ましい戦いにのみ神は微笑むのか、そうではない。神は常に弱い者に寄り添っておられる、という監督の想いが伝わるラストでした。(2017年作品、レンタル可能)





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最終更新日  2018年04月18日 11時05分56秒
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