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2018年05月21日
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文学日記(17)「向う側」日野啓三
2004年に1度、ベトナム・ホーチミンに旅行したことがある。そのときベトコン体験ツアーという日帰りのバスに乗車して郊外のベトコン基地に向かった。既にベトナムでは高度経済成長は始まっていたが田舎は多く、バスは長い幹線道路を通り過ぎると、一時間ほどで長閑な田んぼ風景になり、やがて平地のジャングルに入っていった。そこでは土地の至るところに、小さなベトナム人だけが入れるトンネル入口の「穴」があり、蟻 の巣のような抵抗基地が広がっていた。この短編では、こちら側(米国・南ベトナム)の街(サイゴン現在はホーチミン市)から、おそらくあの幹線道路の雑多な街のひとつに降りて、向う側に行く迄が描かれている。60年代当時の街は、向う側の景色が見える者にとっては恐ろしく危険な場所に見えたのだな、と思った。消えたジャーナリストに何があったのか?主人公にこれから何が起きるのか?一切わからないまま、短編は終わる。全集の見事な導入部ではある。

『ふしぎな球』のふしぎな少年は、「そのうちどんなに呼んでも戻ってこられないところ、私たちには全く理解できないようなところへ、この子はすっと行ってしまうだろう、という悲しみが鋭く胸を刺しました」(79p)といわれる。それは、おそらく「向う側」と同じようなところだと思う。

『牧師館』(96p)の主人公の思索は、61歳の時に肝臓癌が見つかった時のことを反映しているとは思われるが、果たして日野啓三が実際に牧師館にたどり着いたのかとうかはわからない。作品自体も、都会の生活から自然の生活へ、向う側に行く直前で終わっている。
2018年5月2日読了





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最終更新日  2018年05月21日 22時06分47秒
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